推薦
僕はチキンステーキを切り分けながら、ハインリーネ様にさっきの話の続きを聞く。
「そういえばカノンが居る時にするって言ってた話って何ですか?こいつ多分夕食終わったらウトウトし始めると思うので早めに聞いておいた方がいいかと……」
「そうか、ならそんなに難しい話でもないし単刀直入に聞くとしよう。君たち2人、騎士団に入団する気は無いか?」
ハインリーネ様は一時食事の手を止め、僕たちにそう聞いた。
「騎士団って……、え!?騎士団ってそんな簡単に入れちゃっていいんですか!?」
「誰でも入れるというわけではない。実力のある者を騎士団長の誰かが推薦することで初めて試験が行われる。今回は私の推薦という形になるね」
「でも、カノンはともかくどうして僕まで……?最近特訓はしてますけど、戦闘に関してはまだ素人同然ですよ!?」
「人づてに聞いた話だが、二人だけでゴーレムを倒したらしいじゃないか。その時のストーンウォールを攻撃に転用する機転も素晴らしいものだ。それにカノンちゃんと組んでから彼女の業績もかなり伸びたと聞く。騎士団は戦うための集団だが、部隊によってその特色も異なるし、特に第三騎士団は魔法を主戦力とする部隊だ。魔法を扱う君なら馴染めると思うし、時に君の機転が必要になるかもしれない。どうだろうか?」
ハインリーネ様はそうまくしたてる。
いや、どうだろうかって言われても……。
「カノンはどうなんだ?」
「んえ?あいあ?」
カノンは口いっぱいに食べ物を詰めながら「何が?」と聞いてくる。
せめて飲み込んでから喋ってくれ。
「騎士団に入るかって話だよ」
「……入ったらどうなるんだ?」
「なんか、魔族と戦ったりするって」
「って事は魔王と戦ったりもするのか!?」
カノンは身を乗り出して目を輝かせる。
そう言えば聖剣で魔王ぶった斬るとか言ってた気がする。
「残念ながら魔王討伐は私たちの仕事には無いんだ。魔界はグランブルク王国の管轄だから私たちは手出しできない」
「騎士団になると魔王を倒しに行けないって事?」
「まあそんな感じだ」
「へぇ~、じゃあいいや!」
興味が微塵も無くなったかのように、カノンは再び黙々と食事に戻った。
「ほ、本当に辞退するのかい!?お金で釣るみたいになってしまうが収入も良いんだぞ!?」
「カノンは勇者になるのが目標らしいんです。なので多分自由に行動しやすい冒険者が一番良いんだと思います。勇者として召喚された僕が言うのもなんですけど、僕としてはその目標を応援してるので、大変恐縮ですがカノンが辞退するなら僕もそうさせてもらおうと思います」
「そ、そうか……、無理強いはするまい……。気が変わったらいつでも言ってくれ」
まさか断られるとは思っていなかったのだろう、ハインリーネ様も肩を落としたまますごすごと自分の食事に戻っていった。
なんか、すごい申し訳ない事をした気分だ。
いや実際申し訳ない……。
執筆の参考にしようと思って買ったラノベをまだ全然読めてません。
精神と時の部屋の開発が待たれる。