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侵入

 ハインリーネ様が優しい人だったから良かったものの、他のお偉いさんには迂闊にカノンを会わせる事ができ無さそうだ……。



「イリーナ、20分後にカノンちゃんを食堂へ呼んでくれるかな」

「承知致しました」



 カノンが開けたドアを閉めて行っていたメイドさんも出て行ってしまい、客間には僕とハインリーネ様だけになってしまった。



「すみません、あいつ走ってないと気が済まないマグロみたいな奴なんで……」

「構わないよ、イリーナも世話好きな子だから、彼女に任せておけば大丈夫だろう。ところでマグロという魚を知っているという事は、もしかしてレイ君は海沿いの地区出身だったりするのかな?」



 何も考えず口をついて出た言葉だったが、この世界にもマグロが存在するのか。


 生魚は久しく食べてないから、漁業が盛んな地域に行く機会があったら是非マグロの刺身を食べたいところだ。



「出身は日本です。異世界から来ました」

「そうか、異世界から…………異世界!?」

「はい、かくかくしかじかで……」



 僕はグランブルク王国で召喚され、神楽坂の手でこの地に飛ばされたことを話した。


 そこでカノンと出会って、今は冒険者をやっている事、ユニークスキルの事も話した。


 一応タルタロスさんの事と、神楽坂が僕を逃がすために転移させたのかもしれないという事は確定ではないため伏せておいた。



「なるほど、ちなみにその事を今までに何人くらいに話したのか覚えてるかな?」

「えっと……」



 たしか僕がグランブルク王国で召喚された異世界人だというところまで話したのはカノンとタルタロスさんだけだったはずだ。



「身の回りで全部知ってる人はカノンだけですね」

「そうか、それは良かった」

「良かったって……?」

「今は休戦中だけど、この国とグランブルク王国は敵対関係にあることは知っているかな?」

「いえ……」



 敵対関係という事はつまり、僕が曲りなりにもグランブルク王国から来たという事が知られると、この国で活動していくことが難しくなっていくという事か。


 幸いにもこの国の人たちは僕の素性をあまり深く詮索しないでくれていたのでバレてはいないはずだ。



「まあそもそも、北の大国グランブルクはほとんどの国と仲が悪いみたいなんだけどね。西の宗教国家ステラも南の帝国リベルグもグランブルク王国とは敵対関係にある。当分は身元を明かさない方がいいかもしれないね」

「グランブルク王国って何でそんなに嫌われてるんですか……?」

「詳しい事は私も知らないが、かなり昔にいざこざがあったみたいでね。それまでは良好な関係だったらしいけど」

「でもそれだけの国と敵対してたら、連合とか作られて攻め落とされたりしないんですか?」

「それがなかなか難しくてね……。グランブルク王国のさらに北には巨大な山脈があるんだけど、その山の先は魔族が住まう魔界が広がっているんだ。魔界と地続きになっている場所はそこだけだから、事実上あの国が魔族の侵攻を抑えてくれているんだよ。言わば魔界の門の閂ってところかな」

「魔界……」

「だから仮に攻め落とせたとしても、グランブルク王国が崩壊してしまえば、それを機にドッと魔族が人間の領地に侵入して来かねないんだよ」



 なるほど、グランブルク王国で勇者召喚が行われるのも、地理的にグランブルク王国が魔王を何とかしなきゃいけないからか。



「……あれ、でも転移魔法があるなら山なんか簡単に突破されません?」

「ああ、たまーにだけど突破してくる魔族も存在するよ。ただ、転移魔法って扱いがかなり難しいんだ」

「そうなんですか?」

「レイ君も魔法を使ったことがあるならなんとなく分かってもらえると思うんだけど、魔法っていうのは強弱を大雑把にしか制御できないだろう?あとは射出する系の魔法は指向性を手や指で示さないと上手いこと飛んでいかない。転移魔法も方向と距離をざっくりとしか指定できないんだ」

「あぁ、なるほど……」



 僕が使っていた魔法は全部効果範囲が目視できる程度の距離でしかなかったが、それが転移魔法になると目視できない場所に飛ばさなきゃいけなくなるから難しいのか。


 弓矢を塀越しの的に当てるようなものだ。


 下手したら僕、海のド真ん中に飛ばされてた可能性もあるって事か……、怖ッ!



「もっとちゃんとした転移がしたい場合は魔法じゃなくて魔術を使うしかない。ただ転移先にも魔法陣が必要だし、魔法陣を用意するために予めその場所に行くんじゃ本末転倒だろう?」

「つまりたまーに突破してくる魔族はどこに飛ぶか分からない博打に勝って侵入してきたって事ですか」

「そういう事だね。そしてその魔族を討伐するのが騎士団の重要な役割だ」

デジたん誕生日おめでとおおおおおおお!!!

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