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豪邸

 そして当日。


 カノンと一緒にハインリーネ様のご自宅、ヴェルトラーデ邸へと赴く。


 今回ばかりは場所を知らないカノンは素直に僕の後に付いて来てくれている。


 付いて来ているとは言っても、僕の後ろの方であっち行ったりこっち行ったり忙しなく右往左往しているのだが。


 地図が示す目的地はルブルム王国の北西、王宮と外壁の丁度真ん中くらいの位置だ。


 普段僕たちが活動しているのは東側だから土地勘はほぼ無いので、方角だけ合わせてなんとなくで移動していたが、手紙に書かれていた特徴と一致する家は結構すぐに見つかった。



「北西の……一番大きい屋敷……あそこかぁ」

「うおおおお!!!見ろレイ!バカみたいにデカい家があるぞ!」

「バカとか言うんじゃないバカ!あそこが騎士団長様の自宅だ!」



 だが実際に、西の農業区画と北の商業区画に挟まれた場所に建っているハインリーネ様の自宅は、大きさも相まってかなり浮いて見えた。


 3mほどのフェンスに囲われた豪邸。


 広い庭には噴水や花壇。


 白を基調とした3階建てくらいの本館。


 離れたところにある2階建ての建物は従者用の宿舎だろうか……。



「止まれ!ここはヴェルトラーデ卿のお屋敷であるぞ!何用であるか!」

「ご飯を食べに来たんだぞ!!!」

「はぁ!?」



 目を離した隙にカノンはもう門前まで移動しており、警備員2人に侵入を阻止されていた。


 大人の男2人がかりでようやくカノンと拮抗している。


 改めてあいつのパワー半端ないな……。


 ……とか思ってる場合じゃねぇ!強行突破したりしたら今度こそ投獄ENDじゃないか!



「おいカノン!招待状見せなきゃ入れるわけないだろ!一旦落ち着け!」



 もみ合っている3人の元まで走り、なんとか仲裁する。


 警備員の人に招待状を見せると、さっきまでのやり取りが無かったかのようにすんなりと中へ通してくれた。


 巨人用に作ったんじゃないかとさえ思える本館の大きな両開きの扉を、カノンが「こんばんわ~!!!」と道場破りの如く開けると、出迎えてくれたのは数人のメイドさんたちだった。



「お待ちしておりました、レイ様、カノン様。ハインリーネ様から話は聞き及んでおります。どうぞこちらへ」



 メイドさんが建物内を案内してくれるようだ。


 長い廊下を歩き、客間へ通される。


 カノンはその間に、目に付いたドアを片っ端から開いて覗き見ては、そのまま開きっぱなしのドアを後ろから付いて来ているメイドさんが閉めて行っていた。


 一度注意したが、メイドさんが大丈夫ですと言うので、お言葉に甘えてカノンの面倒を見てもらっていた。


 客間には大きなテーブルがあり、奥の方の席には既にハインリーネ様が座っていた。



「やあレイ君にカノンちゃん、よく来てくれたね」

「ど、どうも、この度はご招待いただき……」

「そんなにかしこまらなくてもいいよ、ここは公的な場ではないからね、私も少しラフにさせてもらう」

「ご飯はどこだ!?」

「うん、そんな感じで大丈夫だよ」

「すみません、こいつ多分元からかしこまる気無いです……」



 事前に礼儀とか多少は教えておいてはいたのだが、やはりカノンにそれを強制するのは難しかったようだ……。



「いいよいいよ、カノンちゃんは夕食をご所望のようだし、少し早いけど用意をしてもらおう。ジニー、夕食はもう出せる?」

「申し訳ございません、まだ食材の下処理の段階です」

「出来上がるまでどのくらいかかりそうかな?」

「早いもので20分程度かと」

「出来たものから運んでくれるかい?」

「承知致しました」



 ジニーと呼ばれた、僕たちを案内してくれたメイドさんは一礼の後部屋を出て行った。



「今から作るのか?ならちょっと庭見てきていいか?」

「20分くらい座って待てないのか?……待てないか」

「あはは、元気でいいね。花壇を荒らさなければ大丈夫だよ、ライザが大事に育ててるお花だから気を付けてね」

「わかった!」



 許可が下りると、カノンは颯爽と駆けて行った。



「建物内は走るなって教えたのに……」

やる気が無い時は時計を視界に入れながら作業してます。

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