検証
その日の夜、僕は寝室で手のひらの上を眺めていた。
ステータスウィンドウ、その1ページ目にはLV、VIT、STR、DEX、MAG、AGI、LUKなどの項目がある。
能力が完全に数値化されている。
問題はこの数値が実際肉体ににどう影響するのか、肉体の変化が数値にどう影響するかだ。
例えば力を表すSTRが上昇した場合、比例して見た目の筋肉量も増加するのか。
逆に筋トレなんかで筋肉量を増やした場合、ステータスのSTRは上昇するのか。
気になって夜しか眠れなさそうだったから僕は神楽坂の部屋を訪ねることにした。
神楽坂の部屋を訪ねてみると先客が居たようだった。
僕と同じ帰宅部の御影君だ。
丁度さっき話は終わったようで、御影君は神楽坂の部屋を後にした。
「御影君と何話してたんだ?」
「まあ、ユニークスキルについてだよ、篠原は自分のユニークスキルがどんなものかは確認したか?」
「あー、そういえばまだ何もしてないや、ステータスまわりが先に気になっちゃってな」
「確認するだけなら簡単だぞ、ステータスウィンドウの一番最後のページに書いてあるらしい」
そう言われて確認してみる。
そこには「ステータスリセット:自分のステータスを初期値に戻す事ができる」と書かれていた。
「えぇ、僕のユニークスキル、「ステータスリセット」だってよ……、こんなんでどうやって魔王と戦えばいいんだ……?」
「はっははははは!ステータスリセットは意味分かんないな!ゲームのリセマラ好きが祟ったんじゃないか!?」
「うっせぇ!じゃあお前はどんなユニークスキルだったんだよ」
「ははは、まあ僕も「危機感知」っていう、なんかパッとしないやつだったんだけどな!」
「なんだよ、僕のより全然使えそうなやつじゃんか」
「いやぁそれが「自分に起こる危機を事前に感じ取ることができる」っていうなんかふわっとしたやつでさ、事前に防いでくれるわけじゃないのかよって」
「僕とお前にそんな格差あってたまるか!」
とまぁ、こんな感じで僕と神楽坂はお互いバカにし合えるほどの仲だ。
しかしステータスリセットか……。
色々と検証するにはもってこいかもしれないが、ちょっと使い道が限られ過ぎてないか?
そんなことを考えてると神楽坂が話を振ってくれた。
「そういえば篠原は何か用があって来たのか?」
「あぁそうそう、神楽坂に手伝って欲しい事があってな」
そう伝えると分かりやすく「えぇ~……」って顔をした。
だがなんだかんだ言いつつ協力してくれるやつだってことを、僕は知っている。
「いやさ、実際に僕たちが王国軍に入るまで数日あるだろ?その間筋トレしておいて欲しくてさ」
「筋トレェ……?なんだ?勇者として魔王を倒さなきゃいけないみたいな自覚が芽生えてきたとかか?」
「いやいやそういうんじゃなくてさ、ステータスにSTRってあるだろ?これって力強さを表す数値のはずなんだけど、筋トレしたらどのくらい変化するのか確認したくてさ」
「いやそれ自分でもできるだろ……?」
「サンプルは多い方がいいんだって!僕人脈的に他に頼める人少ないからさ!なんなら神楽坂の方からクラスのみんなにも頼んでよ」
筋トレでステータスが変動するなら個人差があるかも確認したい。
「まーた面倒な事頼んできてからに、まあ僕はいいけど他の人に強制はさせられないからな?」
「助かるわ、他の人については元々そんなに期待してなかったから大丈夫だぞ」
「まったく……、僕を便利に使いやがって、いつか借りを返させてやるから覚悟しやがれ?」
「はっはっは!僕より優秀なお前が僕に頼ることなんてないだろ!」
「そこ自慢げに言うところかぁ……?」
と、そんな感じで便利な神楽坂に協力を取りつけ、その後は軽く駄弁ってから僕は自分の寝室に帰っていった。
一応神楽坂に頼んだ手前、寝る前にスクワットを50回くらいしてから寝た。
忘れていたが筋トレの内容も合わせなきゃだが、それは明日することにした。
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