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館内

「も……もしかして学生さんでしたか!?すみません、学生証を提示いただければ無料でご利用いただけます……!」

「い、いや、学生ではないです。すみません……、利用するのはじめてだったもので」



 いやまあ一応学生ではあるのだが……、この女性が言っているのはこの国の学生であるかという質問だろう。


 話をこじらせるのは良くない。


 元の世界では図書館へ入場するのに入場料は必要なかったので、その先入観から無賃入場しかけてしまった。


 よく考えればこんな大量の本が綺麗に管理されてる施設を大衆にも利用させるなら普通は金を取るか。



「えっと、いくらですか?」



 僕は受付の方へと向かう。


 受付の席に座っていたのは、白いカチューシャがアクセントのやや紫がかった黒髪のロングヘアで、真面目ちゃん風の丸眼鏡なのに猫背で姿勢が悪いのが特徴の女性だった。



「えっと……、入場料は粒銀貨1枚になります……」

「わかりました」



 僕は一番小さい銀貨を目の前の女性に渡した。



「ありがとうございます……。初めてとのことなので、一応口頭で説明させていただくのですが……、注意事項として、館内での飲食や魔法魔術の使用、戦闘行為、書籍を故意に気付つける行為は禁止になります……。あと許可なしに書籍を館外へ持ち出すのも禁止になってます。まあ結界があるので持ち出せないようになってますケド……」

「利用時間の制限とかは……?」

「そういうのは特に無いですが……、20時頃には閉館となりますので、それまでにご退場いただければ……」

「わかりました、他に何か分からない事があったら聞きに来てもいいですか?」

「はい……、あっでも、私以外にも従業員が居るので……そちらでも……」



 と、ほんのり断られたので、僕は軽い会釈をしてその場を去った。


 喋り方が尻すぼみな感じ、あまり人と話すのが得意じゃないのかもしれない。


 僕はとりあえずタルタロスさんの著書でも探すことにした。






 本は羊皮紙を束ねたものや、和紙のような分厚い紙製のもの、少数ではあるが石板なんかも置いてある。


 建物の中央は吹抜けになっていて、構造的には2階建てになっているようだ。


 従業員用のスペースを除けば、この広い建物のほとんどが本で埋まっていた。


 1時間くらいザっと探したが、背表紙だけではだれが書いたのか分からない書籍も多く、捜索は難航していた。



「すみません、とある著者の本を探してるんですが……」



 痺れを切らせて、僕は近くに居た従業員に話しかける。


 受付の女性と同じ制服を着ていたので、意外と人が多い館内でも一目で分かるのはありがたい。



「えっと、著者のお名前は?」

「タルタロスっていう名前なんですが……」

「タルタロスさん……、聞いた事無いですね。ちょっとここで待っててもらえますか?」

「はい」



 言われた通り、その場にあったイスに座ってしばらく待った。


 10分くらい経ったか、さっき声をかけた従業員が戻ってくる。



「お待たせしました、タルタロスさんという方の書籍、一応この図書館に1冊だけあったみたいなんですが……、実は400年以上前に王宮の方へ移送されているらしくて」

「400年……」



 そう言えば結構やばめな内容だったとか自分で言ってたし、大衆に晒せないようなものだったのかもしれない。



「王宮の蔵書となってくると私共の勝手にはできないのですが、一応王宮の方に掛け合ってみますか?」

「あぁ……、できるなら一応お願いします」

「わかりました。ただ、返答までに少なくとも1ヶ月くらいは待たないといけない事になるのですが……」

「急ぎではないので大丈夫です。では1ヶ月後くらいにまた来ればいいですか?」

「はい、お名前を聞いても?」



 僕はその人に名前を教え、タルタロスさんの本の事をお願いした。


 よし、とりあえずやる事は終わったし、この後はこの世界の神話について調べることにしよう。

チアネイチャかわいい!!!!!!!!

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