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大剣

 丁度いいくらいの時間に戻れたのではないだろうか。


 僕たちはギルドに戻り、カノンが受けていた依頼の報告をする。


 僕たちとは言ってもカノンが先にギルドに着いて報告を済ませていたから、カノンが成否の審査待ちでミルクを飲んでいるところへ合流しただけだが。


 余分に魔物を倒したが結果は無事成功扱いだ。


 多いに越したことは無いのだろうが、いつもあんな風に依頼の内容を忘れて適当に魔物狩りをしているのだろうか?


 とリッテさんに聞いてみたところ、やっぱりいつもそんな感じらしい。


 依頼の成功率を上げるために受ける依頼を僕の方で管理した方がいいかもしれない。


 まるでプロデューサーでもやってる気分だが、まあ僕にできる仕事なら僕がやろう。


 まずは朝早く起きるところからだな……。



「次の依頼はどうされますか?と言ってもお昼になってくると残ってる依頼も結構少なくなってますが……」

「いえ、カノンはこの後はちょっと用があるので今日はここまでですね」

「あら、あのカノンさんが珍しいですね?……はっ!もしかしてお二人でデート……!?もうそんな仲に!」

「いやいやいや違いますから!」

「ですよね~!」



 と満面の笑みで返された。



「冷やかさないでくださいよ……。ダイアンっていう人に剣術を教えてもらう約束なんです、お城の兵士の剣術指導をしてる人らしいんですが、ご存知ですか?」

「ダイアンさん……あぁ、名前だけは知っていますよ。たしか騎士団長の一人であるリーヴァ様と肩を並べたこともあるという巨漢、オリハルク様のお弟子さんでしたよね。一体どういった経緯で?」



 また新しい名前が出てきた……。


 騎士団長のハインリーネ様とリーヴァ様、ダイアンさんの師匠のオリハルク様、銀等級冒険者のガランさんと銅等級冒険者のスレインさん。


 名前を覚えるのは苦手ではないが、あんまりいっぱい出てくると誰が誰だか分からなくなるな……。



「経緯としては、たまたま入った店で隣の席になって、話してるうちにそんな流れになった感じですね」

「なるほど……、レイさんは剣術の指南は受けないんですか?」

「僕は調べ物があるのでこれから図書館の方へ行ってきます。それに僕はどっちかというと剣より魔法派ですし、せっかくの機会を邪魔するのも悪いので」

「あら勿体ない、まあご自身でそう仰るなら私が何か言う道理はありませんが……」



 剣を持って間もないド素人の僕が一朝一夕でどうにかなることも無いだろうしな。


 それならカノンに指導を集中してもらい、カノンには岩砕きを覚えてもらって、今後の戦闘に生かしてもらう方が余程いい。



「それじゃあカノンもそろそろミルク飲み終わりそうなので行きますね」



 僕はバーカウンターに座るカノンに討伐依頼は成功だったと伝え、カノンを連れてギルドを出た。


 そして今朝通った道を戻り、宿屋の裏にあるマーレラさんのお店に入った。



「ママさんこんにちわー!!」

「あらいらっしゃ~い、昨日ぶりね~!今日はお昼も食べていくの?」



 昨日と同じく、マーレラさんは快く歓迎してくれる。



「すみません、お昼はもう食べちゃって。今日はダイアンさんに会いに来たんですが」

「あら残念、ダイアンちゃんならいつもの席に……、昨日と同じ席に座ってるわよ」



 マーレラさんが示した先には、昨日と同じくテーブル席に一人で座り酒を飲んでいるダイアンさんの姿があった。


 昨日と違うのはまだ酒瓶の酒の量が1本目の4分の3くらい残ってる事と、ダイアンさんの横に巨大な剣が立て掛けられている事だ。


 目測で幅は30㎝、柄も合わせた全長は150㎝くらいの大剣。


 ダイアンさんはこれを扱うということだろう、たしかにこれを振り回す力があれば岩も粉砕できそうだ……。


 ってか昼間っから酒飲んでんのかこの人は。



「ダイアンこんちわ!!岩の斬り方教えてくれ!!!」

「あらあらせっかちさんね。もう少しティータイムを楽しもうじゃない?一杯奢るわよ?」

「ティー……?」

「一杯食べていいのか!?」

「いやそっちの意味の一杯じゃないと思うぞ!?ってかイントネーションで分かるだろ!」

「アタシ的にはそっちの意味でもいいわよ?」

「やったーー!!!」



 カノンは早速席に座ってマーレラさんにあれこれ注文し始めた。


 というか昨日も会話がいまいち噛み合ってなかったのだが……、二人にして大丈夫なのか今更不安になってきたな……。


 まあダイアンさんはちゃんと話通じる人ではあるから大丈夫か。



「それじゃあダイアンさん、僕は図書館の方に行ってくるので、カノンをよろしくお願いします」

「分かったわ、夕方には帰すから安心してちょうだい」

「ありがとうございます、それでは」



 僕はダイアンさんに見送られながら店を出て、さっそく図書館へと向かった。

ヤエノムテキ良い……。

子猫を見て悶えているヤエノムテキを見て悶えたい……。

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