裏手
自慢げに胸を張るカノンにツッコむ。
仮にそうだとしたらライアンさんが色々とヤバい人になってしまう。
「まあ娘じゃないにしても、昔からアイラちゃんとよく遊んでくれてたし、姉妹みたいなもんではあるわな」
「へぇ、まあなんだかんだカノンも面倒見は良さそうですよね」
「そうだなぁ」
初めて会った時の道案内の時とかも、僕が付いて行けてなかったのに気付いてUターンしてきてくれたりしたし。
「そういえば、これから外食をしようと思ってるんですが、どこかいい店とか知ってますか?」
「お腹空いたから近い所がいいぞ!」
「おっ、それならウチの裏手の店がいいぜ。カノンちゃんは食べ慣れてるだろうけどなんでも美味い店だ!」
「食べ慣れてる?カノン、ご飯はいつもここで食べてるって言ってなかったっけ?」
「私はいつもここのテーブルで食べてるぞ?」
カノンは部屋のテーブルの一つを指差して言う。
「あぁわりぃ。食べ慣れてるってのは俺の妻のマーレラがやってる店だからって意味でな。いつもカノンちゃんの飯時は俺が店に行って作ってもらって来てんだ」
「そうだったのか!」
「4年住んでて知らなかったんかい」
つくづく魔物討伐以外は何も考えて無さそうだよなぁ……。
なんてやり取りをしていると、アイラちゃんがお釣りを持って戻って来た。
「お待たせしました!」
と言ってお釣りをジャラジャラと渡される。
金色の粒が4つに大きい銀色のコインが1枚、中くらいの銀色のコインが4枚、小金貨と同じ大きさの銀色のコインが1枚返って来た。
この銀色のコインが銀貨なのだろう。
なるほど、この小さい金の粒が小金貨の一つ下の硬貨か。
5つで小金貨になる計算だ。
「ありがとうアイラちゃん。それじゃあ僕たちは奥さんのお店の方に行ってくるので、またあとで戻ってきます」
「おう!たらふく食って来いよな!」
「いってきま~す!」
「お母さんのお店に行くのね!いってらっしゃ~い!」
と、カノンと同様にブンブンと手を振るアイラちゃんに見送られながら宿屋を出た。
言われた通り宿屋の裏の通りに行ってみると、宿屋とほとんど背中合わせくらいの位置に営業中の飲食店があった。
「ここだな」
「はやく入るぞっ!おなかすいた!」
僕たちは店の扉を開き中へ入った。
久々にプチプチを手に入れたのでプチプチをプチプチしていたら時間もプチプチしてしまったプチ。