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「まずは出身地を知りたい。ボクの出身地はグランブルク王国だ、カノンはどこかな?」

「私はケント村っていうところだ、ピンクの花が咲く木がいっぱいある綺麗なとこだぞ!」

「ケント村……、たしか随分東の方の村だったかな?」

「わからん!」

「では次にいこう、君は今冒険者をやっているとレイ君から聞いたが、どのくらい前から冒険者を始めたのかな?」

「うーん、9歳くらいの時かな?」

「ふむ、現代ではそんな歳から冒険者を始められるのか。ボクが王国に居た頃は最低でも10歳は行っていないとダメだったが、技術の発達で魔物討伐も簡易化したのかな?」



 10歳でも結構な子供だと思うが、冒険者という職は貧しい人の食い扶持って感じだし、子供でもお金が無ければ冒険者になったりするんだろう。


 世知辛い世界だなぁ。



「カノンの地上での戦闘も少しだけ見ていたんだが、相当戦い慣れているようだね。どこで習ったんだい?もしくは自己流かな?」

「戦い方はパパに教えてもらった。パパも魔物狩りが得意だったんだ!私もパパみたいになりたくて勇者を目指してるの!」

「なるほどねぇ、4年間の経験と優秀な父か。ボクの父上は間の抜けた人だったが、優しい人で様々な者に慕われていたな。それで何かボクに利があったかと言えばそうでもないが、その人となりは多少尊敬していたよ。懐かしいものだ……」



 タルタロスさんは頬杖をつき、軽い溜息を吐いた。


 当然その父上はとうの昔に亡くなっているのだろう。


 憂鬱そうなその表情は家族の事を思い出してしまったからだろうか。


 少しの間があり、スープを啜ると、サクッと気持ちを切り替えたのか、カノンへの質問を再開する。



「次に、君の持っている聖剣の詳細を教えてくれないか?」

「聖剣トリムは選ばれた人にしか使えない武器だ!抜いた聖剣を他の人が持とうとすると全然動かせないらしい!それ以外はわからん!」

「ふむ、では試しに抜き身の状態でこのテーブルの上に置いてみてもらえるかな?」

「わかった」



 カノンは聖剣を鞘から抜くと、言われた通りテーブルの上にカチャリと置いた。


 タルタロスさんはその柄を握り持ち上げようとするが、ビクともしない。


 見ている限り横に転がすことも、鍔を軸に回転させることもできないように見える。


 一通り試して諦め、僕の方を向いた。



「レイ君、君も試してみたまえ。ボクが非力なだけかもしれないからね」



 そう言われて僕も柄を握る。


 結果は同じく、何をしても微動だにしなかった。


 テーブルから少し浮いた柄に全体重をかけても動かない。



「もういいか?」



 と、カノンはテコでも動かなかった聖剣をひょいと片手で拾い上げる。


 さっきまで必死で持ち上げようとしていたのがバカバカしく思えるほど簡単にブンブンと振り回す。



「いやはや不思議なものだ、テーブルが潰れていない事を見るに、ただただ重いというだけではなさそうだな。まるで座標が固定されているかのようだ」



 なるほど、座標が固定とは言い得て妙だ。


 カノンの手から離れる事によって、ずっとその位置に止まり続ける。



「仮にそれが本当なのであれば、空中で手を離せばその場所で止まり続けるという事だが。カノン、試してみてくれないか?」

「わかった」



 カノンは聖剣を胸の前で水平に掲げ、パッと手を離した。



「おー、すげぇ」

「ふむ、まさかその通りになるとは。原理が全く分からないな」



 聖剣は何の支えも無く、空中に静止している。



「なんで浮いてるんだ?」



 と、カノンが言った。


 お前も知らなかったのかよ。



「なかなか興味深い代物だ。転移魔術なんかが有効であるのかどうかも検証したいところだが、大掛かりになるからそれはまた後日にしよう」



 たしかに気になる。


 動力も無しに完全に宙に浮いたものって何かに利用できたりしないだろうか。


 天空の城を作ったりとか……はさすがに安直か。



「もう仕舞っていいよカノン、もしよければその聖剣についてもっと色々と調べてみたいのだが、協力してはくれまいか?」

「どれくらいかかるの?」

「少なくとも1ヶ月はかかる」

「うーん、やだ!」



 と、タルタロスさんは驚くほどキッパリ断られたのだった。

ニシノフラワー引いた!!!や~ったやった~やったった~!

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