液化
「なにっ!?」
「ラドラ……!何故ここに……!?」
二者共に驚く様子を見せた。
地面から現れた不定形のそれは人型の形になり、本来の姿なのであろう上半身を形成する。
魔人の少女だ。
体中に見られる異質な光沢は魚類の鱗のように見える。
地面から液状の状態で現れたのは、おそらくそれがあの魔人の少女の能力だからであろう。
今起こった事から推察するに、自身を液化できる能力でずっと地中に潜伏していたと考えられる。
問題は、その事を外野の私も感知できなかった事だ。
断定はできないが、液状化し地中に拡散して潜伏することで瘴気も気配も極限まで希薄になっていて潜伏に気が付けなかったのだろう。
なるほどそういう事もあるのか。
今後そういった可能性も頭に入れておくべきだな……。
そして、少女は皇帝の刺突から魔人を身を挺して護った。
グラディウスは少女の胸にドプンと突き刺さり、刃の半ばあたりで止まる。
出血が無い所を見るに、液状化することでおおよその物理的な攻撃は無力化できるのだろう。
魔人も一瞬驚きの表情を見せたものの皇帝よりも先に状況を飲み込めたのか、瞬時に弾かれた刀を切り返し再び皇帝に斬りかかる。
少女の能力を知っているからだろう、少女ごと斬り下ろす構えだ。
私は側面から観察しているから動きがよく分かるが、魔人の動きは皇帝側からは少女で微妙に死角となってしまっている。
グラディウスも少女に捕らわれて動きに多少ラグが生じる。
一対一の勝負に水を差したとも言えるが、魔人にとっては起死回生のチャンスでもある。
これはいよいよ皇帝もマズいのではないか……?
「テオ様っ!やってください!」
「退けッ小娘!」
少女はグラディウスを両手で掴んで離さない。
魔人は刀を振り下ろした。
冷静に考えれば後ろに跳び退けばいいとは思うがその判断が遅れたのだろう、皇帝はグラディウスから手を放し、右手で刀を受け流そうとする。
刀の側面に手を添え、方向を逸らす。
視界不良の中での芸当とは思えない、とんでもない動体視力だ。
私の眼には魔人の刀は完全に皇帝の右肩をすかし空振りしたように見えた。
たしかにそう見えたのだが……。
「ぬうっ……!」
ブシャアッと盛大に血が噴き出る。
皇帝の左腕からだ。
二の腕の中間から先が無く、バッサリと切断されていた。
一体今、何が起こったんだ……?
カップ麺の蒙古タンメンおいしいですよね。
個人的にはあの辛さがおいしく食べられる丁度いいくらいの辛さです。




