真剣
「どうした、先程のように攻撃を躱してみせろ」
「ちぃっ……!」
小人の一体一体はおそらく軽く叩いた程度で消滅するくらいには弱小だが、あれほどの数を刀一本で捌き切るのは難しかろう。
皇帝自身は特に手を出さず、魔人が翻弄されているのを眺めている。
小人の刃が通用している事を見るに、防御系の能力である線は薄くなってしまったな。
…………ん、なんだ?
何かが変だ……。
そんな微妙な違和感を感じて目を凝らす。
魔人の動きは依然変わらず迫りくる何体もの小人を斬り伏せているのだが、被弾が減っているように見える。
飛び掛かる小人の量は特に減っているようには見えず、かといって魔人の動きが早くなったわけでも最適化されたわけでもない。
おそらくそのズレが違和感の正体なのだが、何が要因なのかはいまいち掴めない。
「ふむ、なるほど。分からん」
皇帝の方もそれに気付いたようだが、どうやら分からんらしい。
「何故斬られておらんはずの蕗下衆が斬られておるのだ。一体何をしている」
……その言葉で私もようやくそれに気が付いた。
たしかに、魔人が触れていないはずの小人も真っ二つに寸断され消えている。
寸断されているという事は何かによって斬られているという事だが、あの魔人は刀一本以外に小人を斬り得るものは持っていないはず。
魔法であるなら今まで使わなかった理由が分からない。
であれば斬る事に関連する能力か?
私があの巨大な足を盾で防いだように、魔人も足を切り裂いてスペースを作ったのであれば無傷であったのも分かる。
しかしあの瞬間魔人は何もせず棒立ちだったように見えたのだが……、もしや見えない刃でもあるのだろうか?
……いやそれこそ今まで使わなかった理由が分からない。
いわゆる初見殺しではないかそんなもの。
それともあの骸骨の防御が硬すぎて刃が通らなかったとかか?
しかしもしそんな攻撃を受けていたのだとしたら皇帝も気付きそうなものだが……。
ううむ……わからん。
「……埒が明かないな。仕方がない、我直々に相手してやろう。貴様の能力を暴いてやる」
小人の波状攻撃は緩まり、突然生えてきた傘状の植物も綺麗さっぱり霧散した。
「万神、宝剣草薙」
皇帝の手元に魔法陣から一振りの剣が現れる。
グラディウスくらいの長さでシンプルな見た目の両刃の剣だ。
皇帝はその剣を携え、おもむろに魔人へと近付いて行く。
正直刀相手にそんな剣一本では心許ないように思えるが、あの何でもありに思える魔術で出した剣だ。
おそらくただの剣ではないのだろう。
……ようやく本当の真剣勝負が見れるようだ。
ついにアニメフリーレンが始まりますね。
楽しみだぁ……。




