重槍
「何をするかと思えば、相変わらず力尽くが好きなようだな」
「力尽くで皇帝の座へ成り上がったものでな、十八番というやつだ」
気付けば上空の巨大な何かは足の形を成していた。
足首から上は目視できず、その先も作られているのか足だけなのかは分からない。
それが今まさに落とされようとしている。
魔人もそれを止めようとしてか皇帝に何度か斬りかかってはいたのだが、全て巨大な骸骨に阻まれてその刃は皇帝には届かない。
戦闘の様子を見ながら、皇帝の大技に巻き込まれないよう距離を取る。
「さて、遺言があるなら聞いておこう。母上の墓前くらいには持って行ってやる」
リベルグの皇帝は既に勝ちを確信しているのだろうか、あからさまな余裕を見せる。
実際のところ単純な実力面では皇帝の方が優勢である事は明白ではあるが……。
あるいは相手の逆上を促しているあたり、戦闘を楽しんでいるのだろうか。
慎重派な司教様とは逆タイプの人物だ。
これで人の上に立てるのだろうか……。
まあステラとはそもそも文化が違うのだから、問題無いと言われればそうかと頷くしかないが。
「……驕るなよ餓鬼めが」
「受けて立つつもりか?今逃げれば助かるやもしれんぞ」
「避ける必要など無い。未来は確定している」
未来は確定……?
……妙な言い回しだ。
皇帝はそれに構わず手を振りかざすと、巨大な足が落とされる。
「万神、影法師」
辺り一帯がさらに暗くなり、皇帝が地面に吸い込まれていくのが見えた。
残念ながら私の退避は間に合っていない。
今すぐ神器を置いて逃げれば間に合うだろうが、さすがに神器を手放すなんて事はできない。
仕方ないか……。
「……廉貞・重槍」
災悔の盾を傘に防御する。
いや、防御というより盾で穴を空けスペースを作った。
できるだけ能力は温存しておきたかったが、敵対しているわけでもないリベルグの皇帝に無駄に使わされてしまった。
廉貞の巫女が賜る恩寵は貫く能力。
他の巫女と比べてシンプルな能力が故に出力や拡張性が高い。
廉貞の為に造られた神器である災悔の盾は普通の盾と違い面に鈍角の突起があり、廉貞の能力と神器であれば、それが先端でさえあれば硬度やらは関係なく貫く事ができるという訳だ。
ただ範囲は広くなる分当然消耗も激しく連発は厳しいのが難点だ。
しばらくすると足は霧散していき、徐々に周囲の状況が確認できるようになっていく。
皇帝が私を巻き込んでの攻撃を行った事はもういいとして、問題は魔人を倒せているかどうかだ。
倒せていなければ本当に無駄に能力を使った事になるのだが……。
…………どうやら本当に無駄だったようだ。
久々にRimWorldやったら止まらなくなってしまいました。
こいつ時間泥棒ゲーしかやってないなって感じですが、
そういうゲームが好きなもので……。




