責任
「しかし本当に大丈夫なのかね?レイ君。そもそも素人目に見ても重傷なのにあれほど動いて……。カノン君に関してはボクにも責任がある……が、正直に言ってしまえば、この状況で助けに行ったところで患者が一人増えてリスクばかりが跳ね上がる」
「たしかにそうですけど……」
「私としてはあんたに任せるとしか言えないね。この一党の中じゃ私が一番権力無いし」
僕の眼が泳いだ先に居たスピネはそう言った。
「そういうのは気にしなくていい」と返す。
実際のところはタルタロスさんの言う通りだ。
僕は既に歩くだけでかなりしんどいし、カノンだって僕と大差ない怪我のはずだし、タルタロスさんは根本的に体力が無いから誰かが倒れても運んでいくのは厳しいし、スピネは変身によって身体能力はタルタロスさんと完全に同じ状態になってる。
控えめに言って壊滅一歩前ではあるのだが……。
「私は絶対ヴアルを助けに行くぞ……!一人でも!」
カノンはボロボロの体で立ち上がりながら宣言する。
一人ではどう考えても無理だ。
この状況では安全のためにもスピネの能力が必須。
今のところ最難関と言えば、いかにメメントに見つからずにこの場所から撤退するかになるが、それ自体は人数が増えたところで難易度自体はさして変わらない。
なら相手にとって僕たちに対する一番の札になり得るヴアルさんをさっさと回収してしまった方がいいんじゃないかとも思う。
「スピネ、そういえばこの裏世界ってどのくらいの時間維持できるんだ?」
「特に制限時間とかは無いけど、私が寝たり気を失ったりしたら私の意思と関係なく解除される。ちなみにこれそこそこ疲れる」
「じゃあ一日中裏世界で立て籠もって体力回復させるのも難しいか……」
「まあ私の事まで気にかけてくれるのはありがたい事だけどさ、実際問題どうするのさ?メメント様と鉢合わせずこの地下から外に出るのはかなりの運が必要だぞ。私の能力の事も知られてるし、感付かれたら待ち伏せされて終わりだ」
たしかにメメントは結構頭の回る奴だ。
僕がスピネを何らかの方法で使役しているんじゃないか?くらいの推理には辿り着いてもおかしくない。
「そもそもだが、この先にもまだ他の魔族が残っていないとも限らない。それらと戦う余力ももう残っていないだろう?」
「私はまだ戦えるぞっ!」
「レイ君、彼女を止めるのは君の役割だ。それにカノン君、君もよく考えたまえ、君が折れなければ当然レイ君も行くことになる。君の選択がレイ君をさらに危険に晒すことになるという事を分かりたまえ」
「うっ、うう……でも……、だったら私がみんな護るから……」
「今さっき君はレイ君に護られたんだという事を分かっているのかね」
「た……タルタロスさん、カノンと一緒に戦うって決めたのは僕の方なんです。だからあんまりカノンを責めないでもらえると……」
「君も事前に救出が難しいと判断した場合には撤退するという話をしていたではないか。カノン君もそれを了承していたはずだが」
……タルタロスさんの言う事は全部間違っていない。
ヴアルさんの救助は重荷にはなれど脱出の危険度自体は変わらないと考えていたが、もう少し考える必要があるか……。
とはいえヴアルさんを助けるのであれば早い方がいいのは確実。
僕は倦怠感と頭痛に襲われながら、なんとか頭を回す。
勇者ヨシヒコがアマプラにあったので久々に一気見してしまいました。
やっぱり実写の中で一番好きな作品ですね。




