尋問
「500!?」
話を信じるなら、実年齢はとんでもないけど容姿は少女な、一定の層からはロリババアなんて呼ばれる実体が目の前に居る。
この世界には存在してたのか……!
「女の子に見えて実際はババアと知って落胆したかい?」
「いいいいやそんなことは……」
ていうかむしろ興奮している。
いや性的な意味ではなく。
好奇心的な意味で。
「あの、どうやってそんな長生きを……?そういう魔術があるとか?それとも長寿な種族の血が混じってるとか……?」
「落ち着きたまえよレイ君。ボクは君に一つ情報を与えた、次は君が一つ答える番だ」
「えっ、いやさっきのは勝手に情報押し付けただけじゃ……」
押し付けられたは押し付けられたが、状況的に逆らえるものでもないし……、ここは素直に聞くことにしよう。
「一つ与えて一つを得る、ボクは魔術信者なのでね、等価交換の法則に則って進行させていただくよ」
「捕らえられてる以上、ただの尋問では……?」
「魔術とはそういうものさ。ただ供物を捧げるだけでは魔術は機能しないだろう?望む結果を引き出す強制力である魔法陣は不可欠だ。その檻は言わば君から回答という結果を得るための魔法陣の役割を成しているわけさ」
……正直魔術について説かれてもあんまり詳しくないから、そうなのかぁって感じになってしまうが、結局尋問であるを肯定しただけだな……?
「ではまず一つ、君が異世界人である事は予想がついているから一段飛ばそう。レイ君のユニークスキル……だったかな?その能力はどういったものかな?」
危険性を量ると共に異世界人である事を確定させる質問である。
正直ユニークスキルを使ったところで、危険度はゼロどころか僕が弱体化する分マイナスと言ってもいいような代物だが……。
いや待てよ……?
タルタロスさんは僕から回答を得るための檻と言っていたが、別に真偽を確かめる術はないのではないか?
ここは一枚ブラフを張っておくべきか?
僕に心理戦とか上手くできる気はしないが、ギリギリ嘘にならないくらい回りくどく遠回しに回答してみよう……。
「僕のユニークスキルは……、得たものを元に戻してしまう感じの能力ですね」
(レベルアップとかで)得たものを(初期値まで)元に戻してしまう(ただし自分のみ)。
本当にここまで解釈の幅が広い能力だったならチートスキルと言って差し支えなかったのに……。
よくよく考えても魔王討伐になんて向かなそうな能力だよなぁ……。
「なるほどねぇ……、ただ、そんな大層な能力を持ってるわりにその檻から抜け出せないのであれば、何か条件があるか、実は言葉通りの意味では無いか、その能力が魔法に関連するもので檻に封じられてるかのいずれかだろうね」
多分ブラフである事は見抜かれている気がするが、真実のみを話す必要は無いことだけは分かった。
ようすを見る感じ、僕が異世界人であるという事だけでは何か危害を加えてくるなんて感じはしないし、どうにか穏便に敵ではないという事を示せば解放してもらえるかもしれない。
「では次はボクの番だね。実はボクはグランブルク王国の元研究員でね、現役の頃は結構名を馳せていたものなのだよ。色々あって今ではこうして遠い遠い場所で隠居生活しているわけだがね」
僕たちが召喚された国と何か因縁があるのか……?
「色々の部分が気になるかい?教えてあげたいが、その前に君の回答の番だ」
だから情報の押し売りなんだよなぁ……。
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