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偽物

 僕とミザリーさんはしっかりと時間をかけて、雑談を交わしながら全ての部屋の確認と距離の計測を終えた。


 計測法は靴のサイズで測る超古典的な方法なので誤差は結構生じているだろうがだいたい100m強と言ったところだろう。



「おっすタロちゃん、帰ったぜ~」

「思ったよりも時間がかかったようだな。それで、その様子だと成果は無かったようだが……」

「ああ、草の根分けて探したけどアリンコ一匹も見つかんなかったぜ……。レイはなんか考え事があるみたいだからよ、適当な部屋入って休憩しようぜ」

「そうだな」



 ミザリーさんの言葉にに従い、3人とも近くの部屋に入り「京光刀・弱」を唯一の明かりに腰を落ち着かせる。


 さて、次の手を考えよう。


 僕は既に倒すべき魔族の居場所を見つけている。


 だが、万が一その魔族を倒してもこの空間から出られない可能性を考えると、念には念を入れた方がいい。


 要はその魔族が術者じゃなかった場合だ。


 となれば上手くいくかどうかは賭けだが、倒すよりもっといい方法がある。


 ちなみにその事はまだミザリーさんには話していないが、上手くいけばミザリーさんの力は必要ないし、上手くいかなければ予定通りその魔族を倒すだけだ。


 そうなった時は上手い事立ち回ってくれると願おう。



「はぁ、アタシ気付いちまったんだけどよぉ……」

「気付いたとは?」

「閉じ込められちまったって事はアタシらにはここにあるもんしかねぇって訳だろ?つまり飯も酒もねェって事だよなぁ?このままだとアタシら戦う以前に腹減って死んじまうぜ?」

「……それはここにボクもレイ君もが気付いている事だと思うが……」

「食いもんがねぇって分かるとなんか急に腹が減って来ちまったぜ……」



 ミザリーさんはグデっと寝そべる。


 そんな警戒の欠片も無いミザリーさんにひとつお願いをする。



「ミザリーさん、5秒で済むので短剣を出して貸してくれませんか?」

「おう、普通の短剣でいいのか?」

「普通の短剣です。……やっぱりあの命名失敗だったんじゃないですか?」

「細けぇ事は気にすんなって」



 相手はおそらくミザリーさんの反応を見て油断している。


 ここからはスピード勝負だ。


 僕はミザリーさんに借りた短剣の切っ先を左手の指の腹に当て、少しだけ出血させた。


 そしてタルタロスさん……否、タルタロスさんの恰好をした魔族の服を捲り上げる。


 目的のものはやはりそこにあった。



「なっ、何をする!?」



 本格的に抵抗される前に済ませてしまおう。


 僕は目の前の刻印に自分の血を吸わせる。


 直後その刻印は淡く光り、契約完了を示した。


 僕は即座に命令を下す。



「動くな!喋るな!その姿を解除するな!この空間もまだ元に戻すな!」



 魔族は命令通り沈黙した。


 その様子を見てミザリーさんは訳が分からないといった様子で起き上がった。



「お……おい、何が起きてんだ……?」

「こいつがタルタロスさんの恰好をした魔族って事ですよ。容姿が完全に同じなのでもしかしたらと思って試したら上手く隷属化できたみたいです」

「いやいや全然意味が分かんねぇんだけど!?」



 なんやかんやあってタルタロスさんと結んだ隷属の契約の刻印もそのままコピーされていたようだ。


 つまりそれを利用させてもらった。


 こいつが何故タルタロスさんの姿をしているのかが気掛かりでこの手段を選んだ。



「……ひとまず、タロちゃんだと思ってたのがニセモノだったってのは分かったぜ……。レイはいつからそれに気付いてたんだ?」

「確定したのはこの部屋に移動した時です。絶対に口外しないで欲しいんですが、僕とタルタロスさんは隷属の契約を結んでいます。その上で僕は魔族の捜索の時にここから動くなと、お願いではなく命令として言っていました。一周して戻ってきた時、僕は命令を解除していないのにその場を動いた事を見て、タルタロスさん本人ではないと判断しました」

「もしかして考え事があるから黙るっつってたのって……」

「はい、カマをかけるためですね。ミザリーさんが上手い事誘導してくれて助かりました」

「アタシ何も知らされてなかったからたまたまだったけどな」

「そこはもう何か動きがあるまでは無言で貫き通すつもりでした」



 僕の命令に対して何の文句も無かった事も決定的ではあった。



「ところで何でニセモノかもって気付いたんだ?アタシは全然分かんなかったぜ」

「まず一つは魔術が使えないと言ってたところで、魔術が使えないだけならともかく、タルタロスさんだったら色々試してその結果を詳細に教えてくれてたはずです。少なくともミザリーさんの京光刀を見て光源の魔術くらいはどうにかして使えるんじゃないかと試してたはずです。魔術に関しては僕が思いつく程度の事をタルタロスさんが思いつかないはずないので」

「付き合いが長いから分かったって感じか」

「そんなところですね。……さて、次はこの魔族に対して質問タイムといきましょうか」

梅雨ですねぇ……。

雨は嫌いじゃないんですけど、湿度が高いのはちょっと苦手なんですよねぇ……。

まあ乾燥してるのも苦手なんですけど。

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