廊下
「地下も石造りですね。って事は遺跡と地続きですよね。やっぱり隠し扉とかあったんじゃないかとも思いますけど……」
「まあもうやっちまったし言っても仕方ねぇな。ちんたら探すよかこっちのが良いだろ」
僕たちが下りた場所は地下空間の一室、月明りもほぼ差し込まず夜闇よりも暗い5m四方程度の部屋だった。
辺りを確認するためにミザリーさんは「京光刀・弱」を使用する。
「物置部屋みてぇだな」
所々朽ちていてお世辞にも綺麗な一室とは言えないが、少しの木箱しかないせいか埃などは積もっておらず空気も乾燥している。
地下な事もあってか、寒いというより冷たい空間だ。
壊れた扉から部屋の外へ出ると横に長い通路が続いていて、およそ等間隔に同じような扉が続いている。
「うへ~、ま~た一個一個探してかなきゃなのかよ」
「もう一度探剣を使ってみたらどうですか?ひとまずどっちの方向を探せばいいのかが分かりますし」
「あぁそうだな。んじゃあやってみっか」
3度目ともなるとようやくコツを掴んで来たらしく、探剣は2回のトライで上手く作動したようだ。
探剣が示した先は部屋から出て右方向らしい。
らしいというのは暗いせいで僕は目視ができず、ミザリーさんの証言だけが頼りだからだ。
水平に動いたという事は少なくともこの地下一階に何かが居る……、あるいは在るという事だろう。
瘴気の発生源は生物のみに限らない。
だが自然と瘴気が一点に集まる事は無く、もしそう言った物質があるとすれば人工物か魔界から持ち込まれたもののどちらかだという。
探剣が誤作動していない限り、この先に何かしら手掛かりになるものがあることは間違いないだろう。
真っ暗闇なせいで飛んで行った神器を拾うのに少し時間がかかったが、無事回収し「京光刀・弱」を発動させる。
「ふぅ、よしいくか」
「……ミザリーさん、もしかして結構疲れてきてます?」
機微だったが、さっき戦っていた時よりも元気が無いように見えた。
「あぁちっとなぁ。神器使うと普通より気力と体力の持っていかれ方が段違いでよ……。まあこんくらいならまだ大丈夫だから気にしなくていいぜ!」
「探剣に頼りすぎましたかね……。既に満身創痍な僕が言うのもなんですが、あんまり無理はしないでくださいね。敵がいつ出て来るかもどれだけ残ってるかも分からないので……」
正直僕も結構限界が近い。
血も足りないし、痛む傷も気力だけでなんとか我慢している。
止血だけはしっかりできているのが唯一の救いだ。
だからできれば接敵よりも先にカノンとタルタロスさんの2人に合流し、見つかるリスクを上げてでも戦力を増強したい。
そう思いながら上下左右石に囲まれた廊下を歩いていると、前方から足音が聞こえてきた。
ミザリーさんは咄嗟に近場の部屋の扉を蹴破り、半身を隠して様子を伺う。
僕も首だけ出して何の足音だったのかを確認する。
「何やら騒がしいから様子を見に来てみれば……。なんだ君たちだったか」
「その声!タルタロスさん!」
5月がちょっと忙しすぎたんですが、ようやく解放されました……。
多分、おそらく。
お疲れ様休暇とか欲しい。




