妖怪
「本当にあの魔人と戦っているようだな……」
遠目からでも、あの巨大な骸骨が何かと戦っているようであることは目視できた。
さして俊敏な動きをしているわけでは無いが、巨大さゆえにそれだけで破壊力があるはずだ。
手を振り下ろしただけでそこらの魔族なら簡単につぶされてしまうだろう。
だが、その骸骨が一度手を振り下ろすだけに止まらないのは、相対している者がそれを凌ぎ切っているからに他ならない。
ミザリーさんは敵の大将があの骸骨と戦っていると言っていた。
なら今も戦っているのはその大将なのだろう。
「ここからではまだ詳しい様子が分からない。もう少し近付くぞ。二人とも私の後ろを離れるな」
近付くにつれて地響きや衝撃音が増していく。
丁度ミザリーさんが木を薙ぎ倒したあたりで戦闘が行われていた。
倒木の山は巨大な骸骨に潰されたのか、山だったものはおよそ平面になり、枝も折れさらに見通しが良くなってしまっている。
もはや丸太でできた闘技場のようだ。
そして、そこには何度も地面を叩きつける骸骨、そしてその拳をいなし躱し続ける魔人が居た。
おそらく骸骨の下半身、背骨の途中から先は骨が存在しないのだろう、まるで地面から生えているかのように上半身だけがそこにあった。
上半身しかないのに並び立つ木の上から見下ろせるほどのサイズだったようだ。
そしてその骸骨の腹部に位置するあたりに、どうやら見知った人物が存在した。
僕が気付いたと同時に、向こうも僕たちに気が付いたようで、丁度目が合ってしまった……。
「……ふむ、何やら騒がしかったのは貴様が居たからか、レイ。そして侍らせているのはステラの巫女だな?何故巫女が今ここに居るのかは知らぬが、このような状況で女に抱かれて運ばれてくるとは随分と良いご身分だな小僧」
ある程度予想はできていた……。
というかそれ以外に予想できるものが無かったのだが……。
やはり骸骨を動かしていた者の正体は、リベルグの皇帝その人だったようだ。
「…………魔族と戦ってこのザマなので、返す言葉も無いです……」
「なんだぁ?知り合いなのか?レイ」
「状況や佇まいから察するにだが、あの男はおそらく……」
「はい、あの人がリベルグの皇帝、ジオ・リベルグです」
「ふーん、あれが皇帝かぁ……。どーもミザちゃんのヤな奴センサーがビンビン反応してんだけど、あいつぜってぇ自分勝手な奴だろ?そんなのが国納めて大丈夫なのかぁ?」
顔を合わせて早々失礼すぎるだろ。
「自分勝手なのは貴様もだろうが」
「いやいや待ってくれよアリオっちゃん、アタシのはベクトルが違うっていうか自分勝手じゃなくて自由な女っていうか」
ガツンとミザリーさんの頭にアリオーシュさんの盾が飛んできた。
ミザリーさんはその衝撃によろめくもなんとか踏ん張って転倒を免れる。
倒れられると抱えられてる僕も死なばもろともって感じなのだが……。
「いっでぇ!?」
「妙な仇名で呼ぶなと言っているだろうが馬鹿者め。次そう呼んだら盾で貫く」
「ひえ~、盾でとか穴開くどころじゃねぇなそりゃ。ミザちゃんのかわいい脳ミソが消し飛んじまうぜ」
「脳にかわいいも何も無いだろう。脳が小さいという意味か?脳足りんめ」
そんなやりとりを皇帝はなんだか呆れた眼差しで眺めていたのだった。
「余所見をしている場合かジオ」
魔人はこの隙を見逃さず、いつの間にか骸骨の懐、皇帝の傍まで近寄ってきていた。
「万神、塗壁」
おそらくそれは詠唱だろう、皇帝が聖属性魔法「シグナルライト」で描いた魔法陣から見えない壁でも現れたかのように、魔人は何かに阻まれ攻撃を止められた。
塗壁……もしやあの妖怪のぬりかべの事か……?
僕のイメージする、はんぺんに手足が付いたようなものではない透明な壁のようだが、もしそうならあの巨大な骸骨も僕は知っている……。
これも有名な妖怪、がしゃどくろだ。
万神といえば八百万の神々、非常にたくさんの神という意味。
広義に妖怪も神の一種とも言える……。
もしや、皇帝はそれらを使役する魔術が使えるとでもいうのか……!?
「もちろん忘れてはおらん。我としても貴方は因縁の相手であるからな────伯父上殿」
マリオの映画観てきました。
たまにツッコミどころとかはありましたが、それを差し引いてもアクションシーンが良かったり詰め込み具合が凄かったりだったので個人的にとても良い映画でした。
皆さんも是非観てみてください。




