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神器

「レイ、あの魔族を知っているのか?」

「はい、経緯は省きますが、見ての通り数百レベルで分身を作る能力の魔族です……。一応限度はあるはずですが、分身をどれだけ倒しても本体にはダメージが無いので有効打にはなりません」

「ほう……」



 実際、普通にあの分身能力はヤバい……。


 ルブルムの騎士団でさえ苦戦していた相手だ。


 もしカノンが居なければ撤退していた可能性だってあるだろう。


 相手もあの時の事は忘れるはずあるまい。


 まさか違う国で再び相見えようとは思いもしなかったが、



「ま、まさかあの青髪のガキも来てたり…………はしねぇみたいだな。何したのか知らねぇけどあいつには俺の居場所が分かるみてぇだからな……。それなら好都合だ!右腕の恨み、お前で晴らしてやる!よくも俺の右腕をこんなファンシーにしてくれたなぁ!?」



 ……右腕斬り飛ばしたことならまだしも、そんなモフっとした右腕になった事に関しては流石に僕には与り知らない事なんだが?


 え、何?魔族って欠損した部位あんな感じにあんな感じに生え変わるの???


 縫い目みたいな跡あるし、まさかそんな訳無いよな……?



「ミザリー、貴様には後で話がある。が、今は目の前の仕事に集中しろ。相手の能力は聞いただろう、これは貴様の分野だ。体力はまだあるな?」

「うへぇ、ミザちゃんのやる気削ぐようなこと言わないでくれよぉ……。祝杯の話だったらまだまだやる気出んだけどなぁ」

「鬼が出るか蛇が出るかは貴様の働き次第だ。……これを使え、司教様に渡すように言われている」



 アリオーシュさんは懐から何やら高級そうな布に包まれた、両手に収まるくらいのサイズのものを取り出しミザリーさんに手渡した。



「おっ、いいモン持ってんじゃねぇか!こりゃ後で鬼と蛇酒で乾杯だな!」

「はぁ……。まあいい、私はレイを守る。そっちは任せた」

「任せとけ!」



 布の中から出てきたのは短剣だった。


 しかも刃の無い鈍にのようだ……。



「自分で武器出せるミザリーさんにあんなの必要なのか……?」

「レイは恩寵の事を奴から聞いているようだな」

「あ……、は、はい、そうですね。共闘する上で仕方なく……」

「別にその事だけを知ったからとて罰するようなものではないから安心しろ。恩寵を明かす行為を我々が是としないのは、他国からの詮索を最小限にするためだ」

「そ、そうなんですね……」

「だが私は今、司教様より特権を預かっている。ミザリーと共に戦地に居る男……。レイ、貴様になら教えても問題無いとな」

「えっ……それって……」



 僕はまだ、ステラの司教様とやらとは全く面識が無いはずだ……。


 それなのに僕にならという事は、向こうからは一方的に知られているという事か……?


 いやよく考えたらそもそも計算が合わない。


 僕やミザリーさんは何度か戦闘をしはしたものの、時間的にはまだこの辺りに着いてからそう時間は経っていない。


 リベルグから約3日かけてここへ来たのだから、アリオーシュさんはここに来るまでにもっと時間がかかっているはずだ。


 それなのにその司教様は僕がミザリーさんとこの場で一緒に戦っているであろうという事を知っていたのか……?


 ……いや、移動時間に関してはミザリーさんが受信側の転移魔術の術式を持っていたのであればすっ飛ばせはするか……。


 あるいは……恩寵か。


 恩寵の例はミザリーさんの物しか知らないが、それでも僕のユニークスキルと同じく、魔法や魔術さえも及ばぬ能力である事には違いない。



「そう身構えるな。少しずつ教えてやる。まず一つ、ミザリーに渡したものは神器というものだ。簡単に言えば恩寵の力を最大限に引き出す武器。ミザリーの神器の名は四化星(しかせい)(はかり)」。私の持つ武器も同じく神器、「災悔の盾(さいかいのたて)」と「刑剋の矛(けいこくのほこ)」という名だ」

「かっこいいけどなんかすっごい名前ですね……」

「名は大事な要素の一つだ。そして私の恩寵と神器があれば、こういった事もできる」



 そう言うと、アリオーシュさんは矛を逆手に持ち、矛先を地面へと向けた。


 右眼の星模様が淡く輝く。



「──廉貞・珠衝(たまつき)



 アリオーシュさんは矛を地面に突き刺した。


 軽々と……、豆腐に針でも刺すかの如く易々と硬い地面を貫き、手首まで埋まる。


 直後、空間に反響するような悲鳴が鳴り響いたのだった。

Twitter一体どうなってしまうんだ……。

結構ガチめにサ終しかねない出来事が起きているのでは……?

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