表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

314/424

内情

 こともあろうに勧誘だと?


 たしかに魔物化しかけとはいえ、一応今現在敵対しているのだぞ?


 ……いや、考えてみれば寝返らせるには十分な状況ではあるのか。


 仲間は実質全滅、前衛の居ないこの状況でボクが勝てる可能性は限りなく低い。


 であれば形だけでも協力する振りをしてレイ君たちの保護を要求するのが得策か?


 実際問題この魔族にとってのボクは戦力補強としての価値だけで生かされているに過ぎないというわけだ。



「ひとつ聞きたいのだが、新魔王軍とはどういうことだ?魔王軍は魔王軍ではないのか?」

「それはアルケーのやつが新しい魔王になるからじゃ。あっ、これ言っちゃいけないんじゃったか?」

「新しい魔王?奴は魔族では無いのか?それに魔王なら既に居るはずだ。勇者召喚とおよそ同じタイミングで復活をしているはず……」

「もちろん魔王様も復活しておる。今はまだ力を蓄えている段階のようじゃな。じゃがわしらはそれとは別の……おっと、また口が滑るところじゃったわ。まあ詳しい事知りたいんじゃったらわしらの仲間になってアルケーに直接聞いとくれ」



 別とは何だ?


 まさか魔王の配下で内部分裂が発生しているという事か?


 だとしても魔界が力の差の上下関係というルールに則って動いているのであれば、魔王による鶴の一声でどうとでもなるはずだ。


 あるとすれば、あの仮面の魔族が魔王にバレないように活動しているか、あの仮面の魔族が現在の魔王と同等以上の強さであるか。


 後者ではない事を願いたい。


 とはいえ新しい魔王になるなどとぬかす以上、その可能性も捨てきれない。


 であれば奴らとレイ君たちの衝突を避けるのが最善策か?



「……条件がある。これを呑んでくれるのであれば、その新魔王軍とやらに手を貸す」

「一応聞いてやろうかの」

「ボクの連れ3人……最悪1人でもいい、能力を解いてくれないか?そうしてくれれば戦力でもスパイでも、あるいはこの左眼を使って魔族の強化でもしてやろう」

「左眼?おぬしの能力の話か?」

「ああ。この眼は自身の瘴気を他のものに転送する能力を持っている。要するに自然に得られる瘴気の限界を超えることが可能という原理だ。多少時間はかかるがね。大層な目的を持っているアルケーとやらが欲しがるのではないか?」

「他のものにか、変な能力じゃの。まあたしかにアルケーが欲しがりそうじゃ」

「なら……」

「じゃが、あやつの為に何故わしのものを手放さなければならん?」



 利己主義の魔族相手の交渉に、他者への利益の話を持ち出しても効果は薄いか……。


 角の魔族としては自らの盾を3人手に入れ、不要なボクをついでとばかりに仮面の魔族へ引き渡そうとしているだけに過ぎないのだろう……。



「……貴様の強化も可能なわけだが」

「わしは別にそういうのに興味は無いのじゃ。寿命の短い人間とは違って、わしら魔族は生きておれば自然と力は増すじゃろう。わしは生きるために親友を増やしておる」

「だが、貴様も新魔王軍とやらに居るのであればいずれ戦闘に参加することになるのではないか?」

「いつわしが新魔王軍に所属してると言った?言ったじゃろう、わしはただの野次馬じゃと。暇してた所に丁度おぬしらが来たから暇潰しに来ただけじゃ。アルケーの下になど付いてはおらん」



 どうする……。


 もはやレイ君たちを取り返すために支払えるものが無いぞ……。


 本当にこの角の魔族はボクの存在を一から十まで必要としていない。


 所属はしていなくとも新魔王軍の内情を知っているから、仮面の魔族に対する義理でボクに新魔王軍に入るかの提案をしているだけであって、角の魔族にとってはボクの答えが是だろうが否だろうがどうでもいいのだろう。


 つまりボクとしても是だろうが否だろうが辿る道はおおよそ詰みというわけだ……。


 泣き寝入りしたところで手綱を握られてしまっている以上命運は知れたもの。


 ……もう最終手段しか残されていない。



「致し方あるまい……」

「お、腹は決まったかの?」



 もはや今ここで角の魔族を討ち取るしか道は無い。


 ボクは懐から一枚のプレートを取り出す。



「……捕らえよ」

「な、なんじゃ!?」



 プレートに描かれた魔法陣が淡く光を発し、直後角の魔族の足元から何本もの鉄柵が伸びる。


 相手も突然の事で呆気に取られているうちに、柵は角の魔族の頭上をも塞ぎ檻となる。


 勝てる見込みは限りなく低いと考えていたが不意討ちが功を奏し、まずは拘束に成功した。


 後はこの魔族を仕留める攻撃魔術を発動するだけだが、さすがにそこまではプレートによる簡易化をしていない。


 奴が檻に捕まっている間に次の術式を組まなければ……。


 魔法陣を描くために手頃な木の枝を手に取ったが……、しかしその術式が完成する事は無かった。


 突然何者かにボクの角を掴まれ、頭をグイっと後ろに引っ張られる。



「なっ!?ぐあっ!?」

「……子羊一匹だと思って油断したか?メメント。駒を増やした直後に気を抜いてしまうのがメメントの悪い癖だ」

「余計な世話じゃアルケー。この程度わし一人でどうとでもなったわい」

ハリポタのゲームすごい気になるんですけど、自分あの手のゲーム長続きしないんですよね……。

買おうか悩んでます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ