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料理

 魔物化した動物も一応食べられる事は足立さんたちと試して知っているが、あんまり美味しくはない。


 せめて塩胡椒でもあれば味は誤魔化せたりできるが当然調味料なんて無いし、香草を採取しようにも判別できるほどの知識は無い。


 作れる料理は素材の味しかしない姿焼きだ。


 ていうかもはや料理ではないな。


 血抜きのために川に浸しながら内臓を抜いて、可食部の少ない四肢を落として、なるべく綺麗に皮を剥いでいく。


 正直魚以上に哺乳類の内臓はかなりグロテスクだったが、今後こういうことは何度もありそうだし慣れておかなければ。


 時間はかかったが、初めての解体作業をなんとか終わらせた。


 ナイフでもあればもう少し楽だっただろう、依頼を上手く成功させて報酬が入ったらまずナイフと塩を買おう。


 豊かな生活は豊かな食事からだ。


 それからしばらくするとカノンが帰ってきた。



「ただいま~!」

「あぁ、おかえり、随分とたくさん取って来たな」



 両腕に大量に枝を抱えた木片や枝をドサッと地面に置く。


 枝にはまだ緑の葉っぱがもさもさと付いている。



「もしかして生えてる木から枝を切って来たのか?」

「そうだぞ!なんか枝を伸ばして攻撃してくる木があったから、全部斬ってたらこんなに取れた!」

「えっ、攻撃してきたって、魔物かそれ?」

「わかんないけど、枝全部なくなったら動かなくなった」



 トレントみたいな魔物も居るのか……、枝葉全部取られてかわいそうに。



「んー、でも、木材が大量にあるのはいいけど、水気のある木だと燃えにくそうだなぁ」

「乾かすなら日に当てておけばいいんじゃないか?」

「時間かかりすぎるでしょ……、まあ何度も着火すればいけるかな……?」



 僕はなるべく使えそうな木材を選別して焚き火を起こす。


 煙が凄いが、まあ使えなくはない。


 その焚き火で僕たちはタヌキの魔物の姿焼きを作った。


 肉が焼ける匂いはなんだかんだ食欲をそそられる。


 流石に丸々1匹を食べきることはできなかったが、残した分はカノンが綺麗に平らげてくれた。


 本当に食べ過ぎじゃないかってくらいよく食べるな……。



「ごちそうさまでした~、や~食べた食べた!」

「よし、それじゃあぼちぼち出発するか、今日中には目的地まで着いてある程度調査を進めたいな」

「わかった!」



 僕は支給された地図を広げ、行き先を確認する。


 町からこの川までの距離がだいたい目的地までの距離の1割ってところだ。


 結構な距離歩くことになるな……。



「カノン、僕は目的地まであんまり体力使いたくないから歩いて行くぞ……ってもう居ねぇ!?」



 例の如くカノンは既に走って出発してしまっていた。


 食べたばっかでよく走れるな……。



「レ~~~イ!!!目的地まで競争するぞ~!!!」



 川の向こうでそう言って再び走り出した。



「競争って言ってそんなフライングが許されていいのか……?」



 と、抗議する間もなくカノンは対岸の森林の中に消えていった。


 僕は火を消し荷物をまとめる。


 真面目に競争に付き合ってやる必要も無かろう。


 僕は早歩きくらいの歩調でカノンを追うことにした。

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