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調節

 川まで着くとしっかりとカノンはそこに居た。


 日は落ちかけ、空は赤く染まっている。


 そんな夕暮れの下でカノンは漁をしていた。


 聖剣で水面を叩きつけ、盛大な水飛沫を上げさせていることが漁といえるかは甚だ疑問の余地が残るが、川岸に何匹か魚が打ち上げられているところを見る限りちゃんと成果を上げているようだ。



「おまたせカノン」

「遅いぞレイ!そろそろ寝ようかと思ってたところだ!」

「いくら何でも寝るのは早すぎない?」



 時計が無いから分からないけど時間で言うとまだ午後6時くらいじゃないか?



「寝るのはいいけど夕飯は食わないのか?」

「もちろん食べるぞ!」

「じゃあ魚焼くから、ここに打ち上ってるの持ってくぞ」



 僕も無意味にゆっくり到着したわけじゃない。


 魔法の調節ができないかと色々試していた。


 僕が使える火属性魔法、ファイアーボールは文字通り火球を飛ばす魔法だが、威力はMAGの値に影響し大きくなる。


 魔法を発動させるのにMAGを一時的に消費するため、MAGが回復しきるまでは同じ威力の魔法は使えない仕様になっている。


 今までは無意識にMAGを全消費し最大威力で魔法を使っていたが、魔法はイメージが発現する魔法に大きく影響する、意識的に魔法の威力を制御することでMAGの消費を抑えることができるのではないかと仮定し練習してみた。


 結果は思った通りで、ファイアボールを最小限の威力で連射させることに成功した。


 まあ最小限の威力でも消費するMAGの最低値は決まってるようで、ファイアボールとストーンビットでは最低5、ストーンウォールは最低30消費する。


 この最低消費量は覚えておかないと咄嗟に魔法が発動できなくなったりしそうだから気をつけよう。


 ファイアボールの威力を抑えることができるようになったおかげで、焚き火の着火に使えるというわけだ、威力強すぎると吹き飛ばしてしまいそうだし。


 あとついでに薪に使えそうな木材を探したりもしてた。




 料理は割とできる方だが、包丁も俎板も無いから剣で突き刺して丸焼きにした。


 後で剣洗っておかないとな……。


 干し肉やパンは非常用に保留だ。



「いただきまーす!……んがっ!あっちぃ!」

「慌てて食べなくてもその魚はもう逃げないぞ」

「ん?そりゃそうだろ、この魚はもう死んでるじゃないか」

「お前、冗談通じない系か……」



 他愛ない話をしながら僕たちは焚き火を囲い食事をする。


 5匹の魚のうち1匹を僕が食べ、4匹をカノンが食べた。


 よく食べる子だ、僕は1匹で十分な大きさだったのに。


 食べ終わるとカノンはすぐに寝てしまった。


 焚き火の隣で縮こまって横になっている。


 よく運動してよく食べてよく寝る、よく育ちそうな子だ……。


 実際発育は良さそうだけど……。


 とりあえず今日のところは僕も寝るとしよう。


 星空の下、川岸の砂利の上で仰向けになる。



「あー、地面が冷たい……、寝袋とかあればいいんだけど……、我慢するしかないか……」



 風邪ひかないかが心配だが、諦めて眠りに就く。


 冒険者になった以上こういう事にも慣れていかなきゃいけないだろう。


 何より今日は疲れた……、あんなに走ったのは久々だった。


 今は少しでも休んで明日のために備えなくては…………。

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