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等級

 ミルクを頼むお金はないので、僕は水を貰った。



「カノンさん、ミルクを飲んでる間は大人しいんですよ。なんだか赤ちゃんみたいで可愛いでしょう?」



 リッテさんはニコニコしながらカノンを眺めている。



「本当に静かですね……」



 ちびちびとミルクを飲んでいるカノンを尻目に、僕は物資の受け取りを進める。


 食料はパンや干し肉など、最低限といった質だが贅沢は言えない。


 そのほかにランタンや地図、小型望遠鏡などが渡された。



「割とちゃんとしたものが支給されるんですね」

「ちゃんと依頼を遂行してくれなきゃ意味が無いですからね、それにこの魔物発生の騒動って結構前からあったものなんですが、魔物自体はそんなに強くない個体ばかりなので見過ごされてきたものなんですよね、ただ最近量が増えて来たとかで」

「弱い敵なら兵士を派遣するほどのものではないから冒険者にやってもらおうって事ですか」

「そんなところです、ただ道中にゴーレムが居たなんて情報は無かったので、ちょっときな臭い感じはしますね……」



 まあ、あのゴーレムはカノンの話によると休眠状態だったものをぶっ叩いて起こしたらしいが……。


 とはいえそんな魔物が居るなら他に強い魔物が発生してないとも限らない。



「……手に負えなそうだったら放棄して帰ってきても……?」

「勿論です、依頼達成扱いにはならないと思いますが、少なくともその新しい魔物の情報は国に売れると思うので多少報酬は出ると思いますよ。カノンさんの事も忘れず、なんとか言いくるめて連れて帰ってきてくださいね」



 リッテさんもカノンの事を心配してるようだ。


 そりゃ僕より全然付き合い長い間柄だし、彼女の性格も良く知ってるか。


 カノンの事を上手く丸め込める方法を考えておかないとな……。




 荷物の受け渡しが終わり、丁度カノンもミルクを飲み終えたようだ。



「ぷは~!おっちゃん!ごちそうさま!!」



 カノンはジョッキをバーカウンターのおっちゃんに返しに行った。


 随分と筋骨隆々なおっちゃんだ。


 ちょっと怖いからつられておっちゃんって呼ばないように気をつけよう。


 返し終わるとカノンは受付に小走りで近づき聞いてきた。



「レイの登録は終わったのか?」

「終わりましたよ、カノンさんの受けた依頼の支給品をレイさんにお渡ししたのであとで分けてもらってくださいね」

「支給品?」

「食料とかだよ、依頼内容が魔物大量発生の原因を数日かけて調査してくれっていう国からの依頼らしいんだ」

「うぇ?魔物討伐の依頼じゃなかったのか?」



 リッテさんの予想通り、やっぱり依頼内容をちゃんと見てなかったようだ。


 この子は一人で冒険者やってて本当に大丈夫だったんだろうか……。


 そんな思考を察したのか、リッテさんは小声で告げる。



「カノンさん、実力だけで言えば金等級くらいはあるんですが、適当に依頼受けてさっさと行ってしまうので、依頼の達成率と失敗率が半々くらいなんですよ」



 金等級というのは冒険者としてのランクで、銅→銀→金→白金→ミスリル→アダマンタイトの順でランクが上がっていくのだと登録の時に教えてくれた。


 現在の僕の等級は当然銅で、カノンは銀等級らしい。


 基本的に審査で昇格できる最高等級は白金らしく、ミスリル以上は王家から授与される等級で、もはや伝説扱いらしい。



「依頼失敗が多くて上がれないってことですか……、でもそれだけ実力があるならスカウトとかされないものなんですか?」

「何度かそういう事はあったんですが、誰も彼もがあの子に振り回され、付いて行けずにいつの間にかパーティー解散状態になってる事が相次いでいるんです。でも今回、曲りなりにもカノンさんと協力してゴーレムを倒したと聞いて、あなたには少なからず期待してるんですよ。問題児ではあるんですが根は良い子なので、あの子の事、くれぐれもよろしくお願いしますね」

「はい、できる限り頑張ります……」



 常時走ってるんじゃないかってほどの体力に付いて行けるかは不安な所ではあるが、なんだかんだ一緒にこの町まで来れたし、まあ何とかなるだろ……。

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