地中
「姿を現せと言われてホイホイ出て行く馬鹿が居る訳ないでしょう?」
どこからか声が響いた。
見回しても僕たち4人、相手方の御者を含めた3人、合わせて7人以外に誰も見当たらない。
音も屋外の開けた空間なのに反響しているように響いて発生源がよく分からない。
「我の言葉に応じた馬鹿は居たようだが。よもやそんな子供騙しが通用するとでも思っておったのか?」
男性は前に出ていた女性を下がらせ、地面に手を当てた。
5秒くらい撫でまわした後、前方に光の魔法陣が発生する。
これは……、ノヴァ様も使っていた魔法で魔法陣を描く技術か。
「空よ、全てを喰らえ。虚空回帰」
詠唱……?の直後、その真下の地面が抉れて直径1mくらいの穴が開いた。
いや、抉れたというより消滅したと言った方が正しいか?
「ぎゃっ!!?」
「外してしまったか。次は無い」
「くっ……、もう!偵察ついでに村の男数人喰ったくらいで何でこんな奴が出てくんのよ!」
今度は穴のあたりからはっきりと声が聞こえた。
相手は地中に居たのか……。
たしかに地中なら隠れ放題だ。
「……さらに地中深くへ逃げたか。あまり深く穴を空けるのも良くない。追わないでいてやろう」
「えっ、逃がしちゃうんですかジオ様!?」
「ならリンが潜って探しに行くか?」
「そ……それはムリですけど……」
なんか向こうは向こうで一段落着いたみたいな雰囲気なのだが……、僕からしたら終始何が何だか分からなかった……。
カノンもリタさんもポカンとしている。
「とはいえ些か消化不良ではあるな。……貴様ら、我の相手をしろ」
男は僕たちを指差してそう言った。
「い、いやいやいや!リタたちは別に争う気は……!」
「なら動機をくれてやろう。……空よ、蝕め。伏魔殿」
今度は僕たちの足元に魔法陣が現れた。
詠唱はさっきと違うし、穴が開くわけでは無いだろうが、逆に何が起きるかが分からない。
僕はカノンを抱きかかえ、いつでも逃げれるように構えた。
ワンダーアキュートの勝負服可愛すぎる。
実装はよ。