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境遇

 リタさんも昼休憩で来たらしく、僕たちは昼食を済ませて店を出た。



「あの……タローさんに聞きたいことがあるのですが……」

「なんだね?」

「やはり魔族だ、って言ってましたけど、どうしてリタが魔族だって知ってたですか……?」

「ボクには瘴気の濃淡が分かる能力があるのだよ、前回道端で会った時から感付いてはいた」

「じゃあ、なんで見逃してくれるんです……?」

「それはレイ君に聞いてくれたまえ。そのあたりの意思決定は彼に任せている」

「まあ、敵ではないならいいと思います」



 僕としては悪い人では無さそうだからっていうのが一番の理由だ。


 オオカミの魔物と戦った時も僕を助けてくれたし、魔族だけどこの国で普通に暮らせているし。


 ……まあ事業は上手く行ってないみたいだけど。



「あ、でも瘴気の影響を受けすぎると魔物化しちゃうんでしたっけ?」

「たしかに濃い瘴気を浴び続け体に蓄積されると魔物化してしまう、だがリタ君の瘴気の濃度は何故かかなり薄い。おそらくボクと同じくらいだ」

「じゃあ一応人と暮らせなくはないって事ですかね?」

「多少の影響は及ぼすだろうが、年単位の話になるだろうね」



 毎朝瘴気を吐き出して体内の瘴気の濃度を調節しているタルタロスさんと同じくらいの濃度のようだ。


 タルタロスさんのように視覚的に確認できない僕からしたら基準が全然分からないが、リタさんはセーフラインって事か?



「ちょちょ、ちょっと待って欲しいのです!タローさんも魔族だったんですか!?」

「魔族ではない、中途半端に魔物化した元人間だ。まあ公害としての指数は君と同じくらいだがね」

「そうですか……、もしかしたらリタと同じ境遇の方かと思ってたのですが……」

「同じ境遇?」

「あぁ、えっとですね……、簡単に言うと、半年くらい前に捨て駒として魔界から追い出されたのですよ……。詳しい事は浴場で話すのです、せっかく貸し切りですので」



 リタさんは俯きがちに言う。


 捨て駒云々は前にも聞いた気がするが、それは魔界から追放された事を意味していたのか……。


 しかしこの国で普通に活動できているという事は、騎士団から討伐の対象にされていないという事だろう。


 人を害さず、自力でやりくりして、商人として今まで生活してきたわけだ。


 僕も色々あってグランブルク王国から追放された身だが、こうして一人で食い扶持を稼いで生活しているというのは、カノンが居なかったら野垂れ死んでいたかもしれない僕からすると同士として十分に尊敬するに値する存在だ。


 経営に関しては僕も素人だが、リタさんのお店に関して何か手伝えることがあったらできるだけ協力しようと思った。

そういえば結婚式をするまでに割と長くなりそうな感じがしてきたので、「騎士団編」から「結婚式編」に変更しました。

どのくらい長くなるかはまだちょっと分からないです。

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