原理
ノヴァ様の得体の知れなさに戦慄しつつも、僕たちの敵ではないという事だけは分かる。
カノンもおそらくノヴァ様からは敵意を感じていないはずだ。
敵ではないというだけで味方であるかは分からないが。
「シンプルな質問をさせてもらうが、何故知っている?」
「言ったでしょ?俺はこの国の事ならだいたい知ってるって。まあタネはあるけど、おそらく君たちじゃ解明はできないと思うよ。なんてったって俺もなんとなくでやって上手く行っちゃってるせいで説明ができないんだもん」
「魔術か?」
「魔術といえば魔術かな?感覚的には魔法に近いけど。魔術を扱う君なら知っているだろうけど、本来魔術は魔法を真似て編み出された技術だ。まあ今や応用力なら魔術の方が上だけど、使い勝手は魔法の方が全然上だよね。それを踏まえた上で、俺は魔術を魔法みたいに使えるってワケ」
「いや待て、魔術と魔法では原理そのものが違うはずだ。どう足掻いても物理的コストが必要な魔術と魔法を同じように扱う事ができるはずが無かろう?」
「コストを魔法で賄えばいいだろう?」
「…………!」
え、そんなことできるの……?
たしかにタルタロスさんは物質であれば基本的になんでも供物として扱う事ができると言っていたが、魔法で生み出した物体も供物にできるって言うのか?
魔術の専門家のタルタロスさんなら気付きそうなものだけど、もしかして魔法嫌いが災いしてそこに至れなかったとか……?
「まあ魔法でコストを賄う場合、魔法と同じくある程度したらその現象は消え去ってしまうから、持続性のある魔術を使う時にはできない手法だけどね。そして俺が言いたかったのはそういう部分ではない。なんていうかな……、俺は魔術を扱う時、使用する魔法陣がなんとなくで描いたものなんだ。ちょっと実践して見せてみようか、タルタロスちゃんなら見ただけでどういう意味か分かるはずだ」
トン……と、指先でテーブルをノックする。
すると光の線が魔法陣を描き始め、もう片方の手で岩を出現させ、直後に消滅する。
魔法陣の中心に置かれていた皿のスープが湯気を発した。
「はい、スープを温め直す魔術」
「おお!私のもやって!」
「うん、いいよ」
ノヴァ様はカノンの皿でもう一度同じ事をしながら話を続ける。
「ちなみに魔法陣を描いているのも魔法だ。聖属性魔法のシグナルライトという魔法で、本来は暗所を照らしたり、長距離間の意思疎通に使うものらしいが、出力を調整すればこうやってお絵描きもできちゃう魔法なんだ。これも一応魔術を魔法みたいに扱えるって言った要因のひとつかな」
「そんな事より……、何なんだその魔法陣は……!?」
「そう、上手く説明できないって言った理由がこれなのさ。一般的な魔法陣のそれとは違うだろう?」
機種変更ついでにスマホリングを導入したのですが、これ想像以上に便利ですね。
年々スマホがデカくなるので今後必須レベルになるかもしれません。