秘密
「あの、ここで食べるんですか?」
「王宮内には食堂とか無いからさ、ちょっと手狭だけど致し方ない」
「そういう問題じゃないと思うんですが……」
しばらくすると料理が運ばれてきて、僕たち4人の前にずらりと並べられた。
野菜やパンやスープ、肉料理から魚料理まで勢ぞろいだ。
食堂が無いという事は調理場もないはずなのだが、もしかして王宮外で料理したものをわざわざ持って来させたのだろうか……。
肉料理が並び始めたあたりからカノンの左手が出そうになっていたが、つまみ食いしないように僕が抑えていた。
……のだが、ノヴァ様もつまみ食いしてたし「別に食べていいよ」といわれたので、カノンのためにステーキを切り分けた。
「いただきま~す!レイ!肉!」
「僕は肉じゃありませんよ~っと」
カノンの指示通りの料理をカノンの口に運んでいく。
咀嚼している間に僕もちまちまと食べ始める。
食事を進めながら、ノヴァ様は話し出した。
「改めてすまなかったね。戦いの場に俺が居ればよかったんだけど、俺が最優先しなきゃいけないのはこの国の守護なんだ。それでも別任務をしている第四騎士団を除いて結構の人員を送り込んだつもりだったけど、結果はカノンちゃんやそのご家族に被害を出してしまった。だからこそ、カノンちゃんの入団を半ば強行したのは君を保護するための名目でもあるんだ」
「あの……、まだ家族の話は控えていただけると……」
「ああすまない……、配慮が足りていなかった」
「いい、全部私のせいだって分かってるから」
「カノン……」
それでも、カノンはまだ母親の事に関して吹っ切れているわけではない事を僕は知っている。
元気の象徴のようなツインテールはまだ下ろしたままだ。
僕は青髪の頭を撫でながら口元をナプキンで拭く。
「それにしても君たち、なかなか異色の集団だよね。聖剣使いに魔人に異世界人、こんなパーティーはあらゆる歴史書を漁っても無いだろうね。まあそもそも魔人という概念が生まれたのはつい最近の事だから当たり前だけど」
「えっ……」
「あっ、ハイン君から聞いたわけじゃないから安心してよね!」
誰から聞いた以前に、僕たちしか知らないはずの情報を何故知っている……?
魔人という単語はハインリーネ様たちから聞いたとしても、タルタロスさんがそれに該当する人物だという事は僕たち3人しか知り得ないはずだ。
「別に異世界人だからとか魔人だからとかの理由でどうこうしようというつもりは無いよ。この国に害を及ぼす存在でない限り君たちの秘密は保守すると約束する。このことを話したのは俺ばかり秘密を握っているのはフェアじゃないと思ってね、とりあえず君たちの秘密を知っていることを話したという訳だ」
頭痛くて筆が進まない……。
低気圧め、許さん。