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拳圧

「おいハルク。目の前のオレを差し置いてガキに浮気たぁいい度胸じゃねーか」

「ならさっさとかかってこい。喧嘩っ早いお前が何二の足を踏んでいる」

「……これでも騎士団長サマなもんでよ、人質取られてちゃ迂闊に手ぇ出せねーんだわ」

「いいだろう、この女は返してやる。だがこの邪魔な娘にも黙ってもらおう」



 無造作に左腕を振る。


 しがみ付いていたカノンは軽々と振り払われ、木の幹に叩きつけられる。


 バキッと音が鳴ったのは木の幹からかカノンの体からかは判別がつかなかった。



「お望みの貴様の母親だ。貴様で受け止めろ」



 そう言って木に凭れるカノン目掛けて母親を投げつけた。


 しかしカノンに叩きつけられる事はなく、いつの間にかそこへ移動していたハインリーネ様が受け止めてくれた。


 それでも勢いを殺しきれず、カノンの正面に張られた半透明の結界のような壁にぶつかり、くぐもった呻き声が聞こえる。


 結界はおそらくハインリーネ様の聖属性魔法によるものなのだろう。



「くっ……、オリハルクさん!なんてことをするんだ!貴方はこんなことをする人じゃなかっただろう!」

「私はもうオリハルクではない、魔界軍中将のハルクだ。何もかもをリーヴァにへし折られ貴様らの知るオリハルクは死んだ……もちろん揶揄だがな。鋼の刃なんぞにへし折られるほどやわな筋骨ではない。私は力を求め王国を発ち、そして辿り着いたのがこの瘴気の力。リーヴァ、もはやお前の柔に私の剛が負ける事は無い」

「オレに負けまくってふてくされて魔族化したってのか?女々しいったらねーなぁおい」

「どうとでも言うがいい、私は今日ここでお前を殺し全てに終止符を打つ。それともう一つ貴様らに教えてやろう。私はまだ完全な魔族化をしていない。人間と魔族の中間でありながら瘴気を力とする能力を持った存在、魔人と呼称するがいい」

「頭ん中はとっくにバケモンになっちまったみてーだけどなぁ!」



 リーヴァ様は双剣を抜きオリハルク……否、ハルクに接近する。


 体を駆け上るように何度も攻撃を加えるが、どれも弾かれる音がするだけだった。


 関節を狙った攻撃が多いようだが、体勢を崩す様子もない。


 しまいには目を突かれるも、瞬きすらせず眼球で受け止める始末だ。



「相変わらずかてぇったらねーなぁ。お前の皮で鎧でもつくりゃ随分高く売れるんじゃねーのか?」

「皮を剥げるものなら剥いでみるがいい!」



 ハルクは拳を構え、正拳突きをくりだす。


 リーヴァ様はこれを避ける……が。



「「「きゃああああっ!」」」

「ど、どうしたんですの!?」



 その十数メートル後方に居た第二部隊の数人が吹き飛ばされていた。


 ……まさか拳圧で吹き飛ばしたとでも言うのか……!?



「チッ……おいハイン!後ろの奴らを護ってやれ!悪いがそこまで気にかけてやってられねぇ!」

「分かりました!でもリーヴァさん一人で大丈夫ですか!?」

「これはオレの戦いだ!お前らは手出すんじゃねぇ!」



 リーヴァ様はそう言って再び斬りかかった。


 ハインリーネ様は意識を失っているカノンと母親を連れて僕たちの方へと合流した。



「アイネスさん、この二人の応急処置をお願いします!それが終わったらレイ君やタルタロスさんも連れて防衛地点へ!その間私は魔法でシールドを展開して護りますので!」

「わ、分かりましたわ!貴方たち!治療器具を出して!」



 ハインリーネ様の後ろで救命措置が行われる。

モンブランのもじゃもじゃの部分だけ永遠に食べてたい。

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