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無謀

 リーヴァ様が危惧していた通りになってしまった……。


 魔族化の途中なのか、完全に魔族化してしまったのかは僕には判別がつかないが、今まで戦ってきた魔族とは格が違う事が一目で分かる。


 ダイアンさんやバーのマスター以上に隆起した筋肉を持ちながら、さらに常人の10倍以上はありそうな体積の体を持つ。


 リーヴァ様の口振りから察するに元々は人としてあり得る身長の持ち主だったはずだ。


 魔族化の影響か、はたまた魔族化して得た能力なのか、今や鉄塊を剣で両断するどころか素手で鼻紙のように引き千切ってしまえるんじゃないかと思えるほど圧倒的な体躯となっている……。


 それにしてもハインリーネ様が感知した反応は2つのはずだが、もう1体はどこに居るのだろうか。


 そう思い探してみて気が付いた。


 オリハルク様の左手に何かが握られている。


 僕から見える部分はカノンの髪に似た青い髪が項垂れる頭部だった。



「お……お前ェェエエエ!!!!!!!」

「待てカノンっ!」



 抉れるほど強く地面を蹴り、カノンは一直線にオリハルク様へと突進した。


 リーヴァ様の制止も聞かず剣を振る。


 容赦のない首筋への攻撃だったのだが……。



「うあっ!?」



 ガンッと音を立ててカノンの剣が弾かれた。


 オリハルク様が出てくる直前に聞こえていた音とよく似ている。


 ……ああ、あの音はオリハルク様が刃の生えてくるエリアを素足で歩いて来た音だったという訳か……。


 規格外がすぎる。


 それでも尚、筋肉の薄い部位を狙って剣を振うが、全て弾かれてしまった。


 そんなカノンに一瞥もくれずオリハルク様は言う。



「そんな太刀筋では私の薄皮すら斬ることはできない。飛び回るなうっとおしい」



 まるでコバエでも相手にしているようだった……。


 カノンは剣を諦め、左手に取り付く。



「ううっ、離せッ!ママを離せえええ!!!」



 両腕で小指に掴みかかり引き剝がそうとするがビクともしない。


 カノンの全力が小指一本にすら劣るって言うのか……?



「ママ?なるほど、無謀にも単身で拠点に乗り込んできたこの女の娘だったか。たしかにその無謀さはよく似ている。元々この女を返しに持ってきたが、しかしこううざったいと少し意地悪をしたくなってくるな……」



 左手の中からミシミシッと音が鳴る。


 カノンの母親の口から血混りの胃液が飛び散った。



「あああああああああああああ゛っ!!!」



 怒号とも泣き声ともつかないカノンの叫びが響く。



「ハッ、良い声で鳴くじゃないか。私の鼓膜にならダメージを与えられるかもしれないなぁ!」



 酷い……。


 ダイアンさんの話ではもっと良い人だったはずなのに……。


 魔族化とは人をこんな風にしてしまうというのか……。

今日色々あって4回も風呂に入りました。

汗をかくことは嫌いじゃないんですが、ただただ暑いってのは嫌いです。

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