足止
カノンがこの戦場まで来てしまった理由はだいたい分かる。
「って事はもしかしてカノンの母親もまだこの戦場に居るって事ですか……?」
「ああ、村に戻るようにお願いしても聞き入れてくれない女性が一人居て、なんとか保護しようとしたんだけど余計敵陣の方へ突っ込んで行ってしまったんだ。後から来たカノンちゃんの話を聞くに、おそらくその人がカノンちゃんのお母様だろう。彼女を村に連れ戻せなかったのは我々騎士団の不徳の致すところだ、申し訳ない……」
「い、いえ……、知り合いだって人にカノンを預けてそのままにしていた僕も悪いですし……」
「……上官がそうしみったれていては部隊の指揮も落ちてしまうのではないかね?要はボクらにカノン君の事を頼もうというわけだろう?」
「有り体に言えばそうなります。カノンちゃんは今分身能力を持った魔族相手にリーヴァさんと2人で戦っているはずなので、リーヴァさんの手が空けばカノンちゃんのお母様の方に行ってもらう事が出来ます」
分身する魔族、本当に居たのか……。
しかもカノンとリーヴァ様のタッグで相手しても尚足止めされているって言うのか?
もしかしてここに居る魔族、手強いなんてレベルではないのではないか……?
「私も同行しますが、第二部隊の方々にもそのままレイ君とタルタロスさんに同行して援護をしていただきたい」
「ええ、タルティちゃんとならどこまでも」
「レイ君、一応言っておくけど逃げる事優先で頼むよ。カノンちゃんとそのお母様が引いてくれれば第三部隊の範囲攻撃で状況を打開できるかもしれない。戦略的にもその二人の避難が大事な事なんだ」
「なんとか、頑張ってみます」
今まではカノンの強さを認めて好きに行動させていた、というか止める必要が無かったが、今回ばかりは敵の強さの桁が違う。
ここで僕がカノンを止められなければ何のためにパーティー組んだのか。
最悪無理矢理にでも連れ戻さなければ……。
「では準備ができ次第出発しようと思うけど……」
「第二部隊はいつでも出立可能ですわ」
「……僕も大丈夫です」
「ボクも、衣装以外は問題無い」
「分かりました、では出発しましょう!」
「……緊急時なのは分かるが、ボクの格好については口を出さない方針なのかね」
「えっと……すごく似合っていて可愛いですね……?」
「そうでしょうそうでしょう!私渾身のコーディネートですわ!!!」
やれやれと肩をすくめるタルタロスさんだった。
この投稿がされている頃には私は……何をしているんでしょうね。
本日は少々忙しいもので、今回初めて予約投稿での投稿をしています。
予約をしてから投稿されるまでに「あ~、あの場所ああすればよかったなぁ」って現象が発生して悶々する未来が見えます。