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観賞

「アイネス君の相手をしないでいいのであればそれでいい」

「……らしいのでとりあえず大丈夫です」

「ありがとうございます。現在タルティちゃんの存在が士気に直結してしまっているもので……」

「高みの見物をする分には別に不満なんて無いさ。むしろベテラン様の戦闘を観賞できる機会だ、この格好はその対価として甘んじて受け入れよう。せっかくだ、レイ君も便乗して見学して行ってはどうかね?」

「えっ、さすがに僕にその衣装はちょっと……」

「ええ、誰も喜ばないので結構です」



 辛辣だなぁ。


 いやまあ僕も御免だけど。



「ならボクのレンタル代の代わりとして見て行くといい」

「レンタル代って、人道的にアウトだって僕の脳内会議で却下された話なんですけど……」

「そんな話ボクが知るか」



 そんなやりとりを見てルーナさんはクスクスと笑う



「仲がよろしいのですね。別に自由に見て行って構いませんよ、お見苦しいかもしれませんが隠すほどの事でもないので。ただ私より前へは出ないようにお願いいたします」

「あ、ありがとうございます」



 許可が下りたところで、僕は馬車の隣に立ち、丘陵の下で戦闘をする第二騎士団の様子を眺める。


 ちらほらと魔物の姿も確認できるが、魔族だけで数えるとおよそ30体弱くらいだろうか。


 なにやら完全に同じ見た目の魔族も何体か居る。


 あれは分身か幻覚か、あるいはクローンか何かだろうか……。


 他にも多種多様な魔族が包囲され、じわじわと追い詰められている。


 騎士団の方々は重装兵のようながっしりとした鋼の鎧を身にまとい、剣と盾を装備している。


 剣も僕の使うものより少し長めの剣だ。


 女性の身でもそんな重装備で戦えるものなのか……。


 ただ一つ気になったのは、所々防具の一部が取れて無くなっている事だ。


 あまり苦戦をしているようには見えないし、取れた部品はどこに行ってるのだろうか?



「なかなか見ていて面白い。彼女らの戦い方、もしかしたらレイ君にも応用が利くかもしれないぞ」

「そうですか?でも僕ステータス低いからあんまり重装備だと動けないですよ?」

「なにも重装備である必要は無い。……そうだな、右手前のあの赤髪の騎士を見ていたまえ」



 タルタロスさんの指差した先には、まだどこの装備も剝がれていない赤髪の女性が居た。


 その人は地面に剣を突き刺し右腕をフリーにすると、僕がダイアンさんに教えられた戦術のように、盾に身を隠しながら魔法を使うような構えを取る。


 次の瞬間目の前に爆炎が発生し、魔族に大きな損傷を与える。



「凄い威力の魔法ですけど、参考にするにしても相当レベル上げないと僕はあのレベルの魔法使えないですよ?」

「あれは魔法ではない、魔術だ。おそらく鎧の各部位に予め術式を仕込んであるのだろう。供物は鎧そのもの、使い捨ての魔術具だ。その証拠に腰回りの防具が消えている。素材も供物に適したものを使っているのだろうな」



 たしかによく見ると鎧が一部消えている。


 防具の一部が取れたのだと思っていたが、どうやら思い違いだったのか。


 そんな推察を披露したタルタロスさんに、ルーナさんはパチパチと拍手を送る。



「さすがタルティちゃん!ご明察です!私たちはああやって剣と魔術を武器にして戦う部隊なんです」

「魔法じゃなくて魔術……。でもなんでわざわざ防御力を下げるような事を?」

「そうですね、たしかに防御力は下がってしまうかもしれません。ですがそれは攻撃と引き換えであり、さらには軽量化にも繋がっています。魔法ではなく魔術に頼ることでステータスを魔法のために消費する必要も無くなり、より特化した割り振りができるようになります。防御力は下がってしまうと言いましたが、私たちはそもそも大抵の攻撃は盾でいなす事ができますし、訓練もそこを重点的に鍛えています。要するに私たちは元々肉弾戦では重い鎧を付けない方が強いんですよ」

「なるほど。なら最初から鎧を付けないで戦った方がいいのでは?」

「理由は2つあります。遠距離に対応できないのを補うためと、擬似的に重装の前衛と軽装の後衛という役割分担を作れることです。私たち第二騎士団の最大の武器は集団行動であり、弱点を無くすことに重きを置いている事が、騎士団の中で第二騎士団が最強と謳われる所以となっているんです」



 たしかに、全員が統率の取れた動きをしていて、あの大人数の中でそれぞれが適切にカバーをし合っている。


 一端の冒険者には不可能な芸当と言えるだろう。

ワンダーアキュートキュートすぎるだろ!!!!!

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