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邂逅

 仕方なく、どうしようもなく、ただ土の道を歩いていた。


 神楽坂が僕をどこか遠くの見知らぬ地へ追いやった。


 混乱した頭では何故こんな事になっているのかの答えが見つからない。


 ただ、どうしても神楽坂の行動や言動には違和感があった。


 その違和感の正体はまだハッキリと掴めていないが、それが分かれば僕がこんなところに飛ばされた理由も分かるかもしれない。




 まず状況を整理してこれからしなければいけない事を考えよう。


 現在地は不明、この世界の地理は王国と契約した後の勉強会で少し教えてもらったが、それだけで完全に頭に入っているはずもなく、現在地が分かってもどうしようもないが。


 今最優先でしなければいけないのは身の安全の確保だ。


 幸い見晴らしのいい草原を見回しても魔物らしき影は無いが、できれば日が暮れる前に人の居る場所を見つけたい。


 道があるという事はどこかしらの町には繋がっているはずだ。


 とりあえず道なりに進んで行くとしよう。


 そして持ち物は軽装備にバックラーと片手剣、ついでに麻袋に入った魔法書がある。


 レベルは11、MAGに極振り。



「一応魔物が現れてもある程度は対処ができるかな…………、ん?」



 ……どこからか地響きのような音が聞こえる。


 ドスンドスンドスンドスンと、規則的な音がどんどんとこちらに近づいてきている……?



「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」



 よく聞くと地響きと共に雄叫びのような声も近づいてきている。


 これは女性の声か……?


 後ろから聞こえたそれを確認するために振り向くと、もうすぐそこまで巨大な影が近づいていた……。



「おおおおお!!!お!!?そこの方あああああ!こんにちわあああああああ!!!!!」

「うわあああああ!!!」



 状況を理解した瞬間、僕は走り出していた。


 その声とは反対方向に。



「どこ行くんですかあああああ!!!?」



 僕の方へ迫ってきていたのは一人の少女と巨大な岩のゴーレムだった。


 この世界での呼び方が合ってるかは分からないが、ゴーレムという名前から想像できる物体そのものが少女を追いかけて走っている。


 魔物が現れてもある程度は対処できると言ったが、明らかにある程度の範疇を超えている!



「ななな……なんでそんなのに追われてるんですかーーー!?」

「こいつを倒そうと思って斬りかかったら全然刃が通らなかったのだ!!!!!」

「いや見ればわかるでしょ!?岩ですよそれえええ!!!」

「私の聖剣に斬れないものなど無い!!!」

「今さっき斬れなかったって言ったじゃんか!!!!?」



 よく考えたら追われてるのはこの少女のはずだ、一緒になって逃げずに脇に逸れればいいじゃないか。


 追われる原因を作ったのは彼女で、追われているのは彼女だ。


 なんか悪い気もするが帰宅部のスタミナでは逃げ切れる気がしない。


 彼女はそれ以上に走ってるとは思うが……、声を聞いた感じまだ元気そうだし、何とか逃げ切ってくれよ……。


 そう思いながら僕は進路を変更したのだが……。



「おいいいいいい!!!何で付いてくるんだ!!!僕まで追われる必要無いだろ!!!!?」

「せっかくなので力を合わせて戦いましょうよ!!!」

「無理無理無理無理無理無理無理無理!!!!!」

「君も冒険者だろう!!?旅は道連れと言うではないか!!!!!」

「勝手に道連れにするな!!!」



 少女も僕を追いかけて進路変更してきやがった。


 一緒に戦うだって?


 無理に決まってる。


 第一今の僕はMAG極振りでファイアーボールしか使えない雑魚だ。


 普通に考えて岩系の相手に火属性は効果がないだろう。


 …………いや待てよ?


 ならば効果のある魔法を今から取得すればいいのではないか……?



「分かった!協力するからちょっとだけ時間を稼いでくれないか!」

「本当か!?ならば任せろ!!!」


 そう言って、少女は身を翻した。

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