布陣
その後本隊に追い付き情報を伝えた。
やはりハインリーネ様は既に1体逃げていたのを察知していたようだった。
「どうするよハイン、相手方も結構やるみたいだぜ?それに偵察隊で3匹ってこたぁ結構力入れて来てるぜ」
「そうですね、報告を優先させるあたり統率も取れています。久々に一筋縄ではいかない戦場かもしれませんね……」
「ところでサリュージアさんはまだですか?」
「なんか今忙しいとか言ってたらしいぜ、まああいつらのやるこたぁ変わんねーだろうし大丈夫じゃねーか?」
フレーマ様が言ったように、団長を招集したにもかかわらずアイネス様の姿は見当たらない。
戦闘に備えて何か準備でもあるのだろうか。
「まあとりあえず、相手側が私たち本隊を探知して報告に行ったか、リーヴァさんたちの分隊しか探知できていないかで話は少し変わってきますが……。一旦探知したのは分隊だけだと想定して、少し布陣を変えましょう。第五部隊は少し先行して前へ、その後ろに第一、第三、第二の順で」
「おう、敵が見えたら攻撃していいんだな?」
「大丈夫です。左右の警戒は私がしておくので、敵を掃討しながら突っ切っちゃってください。おそらく既に村の衛兵さんたちが戦線に居ると思うので、合流したら衛兵さんたちを私たちの後ろに下げてあげてください。戦線もやや下げて大丈夫です。第三部隊は防衛ラインで砲撃準備を」
「第三部隊了解」
「それじゃあオレたちは先行かしてもらうぜ」
「よろしくお願いします」
ハインリーネ様は隊を進行させながら他の部隊に指示を飛ばす。
リーヴァ様の部隊は言われた通り、30人くらいの人を連れて先を行く。
それ以外は1部隊抜けた分を詰めて並びは変わらなかった。
第二部隊の距離が近くなったせいか、きゃいきゃい騒いでいる声が聞こえてくる。
「アイネス様の部隊、何やってるんですか?」
別に敵が来て騒いでいるようにも感じないし、何をしているのか少し気になる。
ハインリーネ様は少し思案するように首を傾げる。
「……さぁ?」
「さぁって……大丈夫なんですかそんな感じで……。一応向こうにタルタロスさんが居るので、何かあったらって心配なんですけど……」
「それに関してなら、どちらかというと第二部隊の中心がこの隊のどこよりも安全だろうから心配いらないよ」
「中央の第三部隊よりですか?」
「ああ、何故なら全部で五部隊あるルブルム王国騎士団の中で一番強い部隊だからね。だからこそ殿でもあるんだ」
「一番強い……、リーヴァ様よりもですか?」
「単体での最強は私もリーヴァさんだと思うよ。ただ、部隊という集まりとしてはアイネスさんの方に軍配が上がるかな。まあいずれ第二部隊の戦闘も見れると思うから楽しみにしていてよ」
「いやまあ僕は安全ってならそれで……」
部隊としてはアイネス様の方が強い、というのはやはり連携が取れているからだろうか。
でもリーヴァ様の部隊もかなり統率感高かったしなぁ。
見てみないと分からない感じなのだろうか……。
土用の丑の日なので夕飯にウナギを食べたのですが、未だにずっと喉に骨が刺さってます。