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経験

「……リーヴァ様はどうした方がいいと思います……?」

「おいおい、オレが先に質問してんだぜ?……まあオレ的にもそうであっては欲しくねーけど、なんていうか、そういう兆候はあったから正直そこまで驚いちゃいねーんだ。ハルクを引き留めるための婚姻でもあったんだけどな……、今年で5つになるガキだって居るんだぜ?まあ親父の顔なんて覚えてねーと思うけど、それでも悪い知らせは持っていきたくねぇとは思うな」



 ちゃっかり子供まで作ってたのか。


 子は鎹と言うが、そうもいかなかったという事か。



「隠しておくって事ですか、僕もそれでいいんじゃないかと思います。知らない方がいい事もあると思いますし……」

「まあまだそうだと決まったわけじゃねーけどな。メンドくせー男だよまったく……」



 リーヴァ様は軽薄な言葉を言いつつもどこか哀愁を漂わせる。


 婚姻までして引き留めたい相手が、それでも袂を分かつ結果になってしまったのだから


 でも僕はお師匠様本人との関わりが特に無いせいか、正直あんまり実感が湧かない。


 どういう言葉をかければいいかも分からない。



「ところでその背中の嬢ちゃん、カノンって言ったか?魔物の大群相手に一人で戦えるくれーの腕って話じゃねーか。国に帰ったら一戦手合わせさせてくれよ」



 カノンを指差して言う。



「手合わせですか……?本人が起きないとなんともって感じですけど……。そういえばですけど、ダイアンさんもカノンはリーヴァ様に似てるとか、そんな感じの事言ってましたね。強い相手と戦わせた方が成長するタイプだって」

「ほう?」

「リーヴァ様も昔ダイアンさんのお師匠様と何度も戦ううちに腕を上げて、だんだんとお師匠様を上回って行ったとか」

「あー、たしかに荒くれどもの統領やってた頃ハルクのやつにボコボコにされたっけな。あんときゃオレが世界で一番つえーと思ってたんだけどよ、まだ上があるんだって知ってからもっと強くなるために何度も相手してもらったもんだ」

「だからリーヴァ様に手合わせしてもらえるのはカノンにとってもいい経験になると思うので、僕としては是非お願いしたいところなんですが、カノン自身がどうするか次第ですね……」



 多分今カノンに必要なのは対人経験だ。


 策や技を駆使してくる相手との戦闘経験が足りていない。


 大真面目に来る敵来る敵全部相手していたせいで先の魔族相手にも苦戦していたように思う。


 魔物を使役していた魔族本体自体はそこまで強かったわけでも無さそうだし、まだ体力のあるうちに魔族の懐まで詰められていればカノン一人で勝ってた可能性はあり得る。



「ま、後でその嬢ちゃんにもどうするか聞いといてくれよな」

「分かりました」



 僕が頷くと、また一人馬が寄って来た。


 だが用があるのは僕ではなくリーヴァ様の方のようだった。


 言伝を伝えに来たらしく、馬を寄せ耳打ちする。


 伝え終えて伝言係が離れていくと、リーヴァ様は近くに居た自分の隊に声を掛けた。



「左舷前方に敵だ!アイン、ネイル、スタンク、フォルの4人はオレに付いて来い!残りは待機!何かあったらハインの指示に従え!」

「「「イエス!マム!」」」



 統制の取れた掛け声とともに大群から4人が左側へ抜けて出てくる。


 この人たちがさっき呼ばれた人たちか。



「丁度いい、レイ!せっかくだからオレの戦い方も見学していきな!」

「で、でもハインリーネ様の許可なしに勝手に行くのは……」

「気にすんな!ダメだったら止めにくんだろ!」



 そう言って馬を走らせた。


 僕は言われるがまま付いて行く。

久しぶりにnoitaしよ。

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