追放
「篠原、君のユニークスキルは我々の足手まといになると判断した」
…………は?
そちらへ振り向けば神楽坂の他にクレフ隊長とその他の兵士数人が並んでいた。
クレフ隊長は僕を怪訝な顔で見つめている。
いや、そんなことより神楽坂の突拍子もない発言に耳を疑った。
「足手まとい……?いきなりどういうことだ!?」
「話は聞かせてもらった、君のユニークスキルはステータスを下げてしまう能力なんだってな」
ステータスを下げる能力?
言い換えればそうかもしれないが、やや語弊がある。
「いや、ステータスを下げるっていうか───」
「たとえその能力の対象が自身だけだったとしても、そのスキルのために毎度お前のレベル上げに付き合ってられない!」
「お……おい、どうしたんだよ神楽坂……」
僕の発言に被せて捲し立てる。
何が起こっているんだ……?
どう考えてもいつもの神楽坂には思えない。
「か、カグラザカ殿、気持ちは察するが……」
「大体お前はいつも僕をいいように使いやがって!」
「お……落ち着いてっ」
いつもと違う剣幕に動揺したのか、周りの兵士たちもやんわりと止めに入る。
僕は訳も分からずただ茫然としていた。
「こんな関係はもう終わりだ、……篠原、お前はこの隊から抜けてもらう」
神楽坂は手をかざす。
僕にではなく、僕の足元へ。
そして転移魔法の詠唱をした。
「今後は目の届かないところでせいぜい頑張るんだな……、テレポート!」
「カグラザカ殿!?」
詠唱と共に、足元から光の円柱が伸び視界が奪われる。
何もかもが突然の出来事で頭の理解が追い付かない。
何が神楽坂をあそこまで豹変させたのか。
何故テレポートを使って僕を飛ばしたのか。
何も分からない。
次第に光の円柱は弱まっていき、視界が開かれた時には神楽坂は目の前から消えていた。
いや、僕が神楽坂の前から消されたと言った方が正しいか。
───今目の前にあるのは何も無い草原。
近くに道はあるがそれ以外何もない。
やはりウサギ狩りをしていた森林とは全く違う場所に来てしまったらしい。
僕は途方に暮れることしかできず、しばらく立ち尽くしていた。
区切りの都合上今回は短めです。
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