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牢獄

 ストーンウォールは既に消滅していて、タルタロスさんの姿は見えている。


 地面に何か書いているようだった。


 タルタロスさんが作業に集中できるようできる限り引きつけなくては。


 僕は前方の魔物と戦いながらも、時々後方の魔族までファイアーボールの飛距離を最大限に伸ばし発射する。


 火球は護衛の魔物が身を挺して庇ったりゾウの鼻なんかで掻き消されるが、これでそっぽを向けないはずだ。


 しかし囲まれそうになるたびカノンに指示して少しずつ下がって行っているため、飛距離を伸ばすのに使うMAGが徐々に増えてしまって来ている。


 あとどのくらい持つか分からない。


 カノンも僕が来てから若干の元気を取り戻していたものの、また次第に魔物を倒すペースは落ちてきている。


 圧倒的にジリ貧だ。


 ……そう思った矢先、魔族の周囲に地面から複数の鉄柱のようなものが出現し、護衛を行っている魔物ごと檻のように取り囲む。



「うおっ!?な、何だ!?」

「うおお!なんだあれ!!」



 魔族が素っ頓狂な声を上げ、カノンも似たような反応で騒ぐ。


 僕はあの檻が何なのか、だいたい予想は付けられていた。


 僕が初めてタルタロスさんに会った時に使われた魔術、名前も原理も分からないが内側の魔法を無力化する牢獄だ。



「男のガキの魔法か!?……いやでもあいつ最下級魔法でしか攻撃してこなかったし、こんな事できる余裕はなかったはずだ!他に誰か居るな!?」



 魔族は辺りを見回すと後ろにいるタルタロスさんを発見する。



「クソッ!またガキが増えやがった!!!」



 ……その人、500歳越えだが。


 とはいえ見つかってしまったことで標的がタルタロスさんの方へ向くのは明らかだ。



「カノン!一旦離脱して元居た場所に戻るぞ!!」

「わかった!!!」



 そう宣言すると同時にカノンは走り始め、それと同じくして周囲の魔物もタルタロスさんの方へ向かって走り出した。



「白髪のガキをやれ!!!」



 魔族は魔物にそう命令した。


 タルタロスさんは集まって来る魔物には目もくれず、再び地面に何かを書き始める。


 薄々分かってはいたが、地面に書いているのは魔法陣だ。


 魔族を取り囲む牢獄もおそらくタルタロスさんが即興で作ったものだろう。


 だが魔物を操る能力が発動できているという事はその能力は魔法ではなく、タルタロスさんの左眼や僕のユニークスキルと同じく特殊なもののようだ。


 これではまだ魔族の無力化には成功していない。


 魔族も外の魔物に命令を出しつつ、ゾウの体当たりで檻を壊そうとしている。


 僕も元の位置に戻りながら次の手を考えなくては。

カロリーメイトとコカコーラを机の周りに常備しておくとQOLが上がります。

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