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新作

 5日目、ケント村到着予定日。


 いつものように馬の世話や出立の準備をしているとタルタロスさんから声が掛かる。



「カノン君の動きが止まっている。ボクらからの距離はおよそ30㎞……どうするかね?」



 止まった……という事は、疲労で倒れたか足を止めざるを得ない相手が現れたかだ。


 どちらにしろ合流した方がいい事に変わりはない。


 30㎞というと馬を直線に走らせて1~2時間くらいだ。


 しかし道を逸れて舗装されていない場所へ馬を走らせるとなると、さらに到着が遅れる事になるだろう。



「丁度北方向にカノンの位置が来るまでこのまま進んで、その後北に直進しましょう。獣道で無駄に馬の体力消費するよりいいと思います」

「承知した。それともう一つなんだが……」



 タルタロスさんは手元に置いてあった、よく分からない模様の刻まれたキューブを僕に投げて渡してくる。



「これって……例の爆弾じゃ!?」

「それは新作だ。それに前のも爆弾ではない、瘴気を蓄積するリザーバーだ」

「……新作って?」

「それはおおよそ魔素体のコアと同一のものと言って差し支えない。瘴気を蓄えるのは従来通り、既にボクの4日分の瘴気を吸収している、そしてそれを原動力として活動する生命体に近いものだ。だが他の物質と結合する力はない、言ってしまえば動かないゴーレムといったところか」

「ゴーレムが動かなかったらただの石じゃね……?」



 逆によく分かんなくなってきたぞ……?


 関節の無いゴーレムみたいな?


 いやそれもよく分からんな……。



「細かい事はいい、とりあえずソレを分かりやすくデーモンキューブと命名するが、要点はデーモンキューブがゴーレムのような魔物と同様の性質を持っているという事だ」



 デーモンキューブってやたら名前がカッコいいな。



「同様の性質を持っているとどうなるんです?」

「分からないかね?魔物、あるは生物を殺傷すると君の身に何が起こる?」

「え……?怨念が取り憑くとか?」

「怨念など存在しない」



 タルタロスさんは幽霊とかは否定派か……。


 なんてことはどうでも良くて、僕はタルタロスさんが何をしたいのかを量りかねていて、少し回答に困ってしまう。



「質問を変えた方がいいか。君はレベルを上げるために何をする?」

「魔物を倒しますけど…………って、えっ!?そういう事!?」



 ようやく何をしたいのかが分かった。


 デーモンキューブが魔物と同質だというのなら、この立方体からも経験値を得られるという事だ。



「つまりこのデーモンキューブを破壊していいって事ですか?」

「そういう事だ。ただ上手く行くかはまだ不明だ。何せ王国を出る前に思い付いて即興で作ったものだからね。それに4日程度の蓄えで効果を発揮するかもまだ不明だ」

「でも上手く行ったらなかなかのバグ技っていうか……、他に試した人とか居ないんですか?」

「居る訳無かろう。これはボクの瘴気を与える特殊な能力とレベルの低い人物が揃わないと成立しない。仮に揃ったとしても記録に残し後世に伝えられるような存在でなければならないだろう?」

「……後者はともかく前者はそうそう存在しませんよね……。でもこういうのって試験を重ねてから使った方がいいんじゃ?」

「そうも言っていられないだろう。まだ奥の手とも言えない代物だが、どう扱うかは一任しよう。君が持っていたまえ」



 そう言ってタルタロスさんも身支度を始めた。


 奥の手の一つとして有用かどうかは不明だが、ひとまず言える事はある程度レベルの高い状態から使用しても焼け石に水にしかならない可能性が高いという事だ。


 最大限効果を発揮するタイミングは、僕がステータスリセットを発動した直後。


 レベルが低い方がレベルが上がりやすい。


 上手く行けば僕にとって画期的なアイテムになるぞこれは……!



「じゃあひとまず取っておきます。使わなかったら使わなかったで後で実験にも使えるし」

「実験は是非ボクの監修の下行ってくれたまえよ?」

「分かってますよ」



 そうして準備を終え、再び東へ馬を走らせた。


 1時間程度で目的の位置へ到着し、地図上のカノンの位置が動いていない事を確認した後、ここからさらに北上する。

モンハンで時間が溶けまくる……。

一狩り平均20分くらいなのでVampire Survivorsほどではないですが、なかなか加減が難しい……。

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