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継承

「マーレラさんこんにちは」

「あらいらっしゃい、1週間振りくらいかしら?ダイアンさん淋しそうにしてたわよ、今日もいつもの席に座ってるからね」

「はい、ありがとうございます」



 軽く挨拶を済ませ店の奥へ行く。



「レイちゃんじゃないの~!5日くらい空けるって言って1週間以上音沙汰無かったから心配してたのよ!」

「すみません、色々あって帰って来るのに時間かかっちゃいました」



 色々というかタルタロスさんが行動不能になってしまったからだが。



「そうなのね、とにかく無事でよかったわ!今日は稽古していくのかしら?」

「いえ、疲れも溜まってるので今日はゆっくりしようと思います。今回はただ昼ご飯を食べに来ただけですね」

「あらそうなの。ところで隣にいる小さい子は……もしかしてガールフレンドかしら!?」



 小さい子とはタルタロスさんの事だ。


 まだ体の調子が全快していないため、僕の腕にしがみ付いているせいでそう見えたのだろうが、全然違うのできっぱりと否定しておく。



「ボクの名はタルタロス、しがない魔術研究者の一人さ。諸事情によりレイ君のパーティーの一員となった。君はレイ君の友人かな?」

「アタシはダイアンよ♡レイちゃんのガールフレンド第2号なの♡」

「なるほど、となると第1号はカノン君かな?」

「違いますからね!?そもそも彼女とか居ませんから!」

「あぁン、ヒドゥイ♡」

「妻を邪険にするのはいただけないね」

「グレードアップさせないでください!分かっててやってるでしょ!?ダイアンさんは剣の先生ですよ!!!」



 急にコントを始めないでくれ。


 ただでさえ疲れてるんだし、ツッコミでさらに気力が削られる。


 余計お腹が空いて来たので、僕は適当な料理をいくつか頼み席に着いた。



「ところでタルタロスちゃん、あなたの名前どこかで聞いた気がするのだけど……」

「ああ、僕が探していた本の著者の名前ですね」

「そうそう!……って、タルタロスちゃんって本も書いてたりするの!?どんなジャンルの小説家さん!?」



 あー……、どう説明しようか……。


 著作を解説するのは色々マズいだろうし……。


 困ってタルタロスさんの方に視線を送ると、様子を察してかタルタロスさんが話を変わってくれた。



「そのタルタロスというのは継承されていく名でね、その本の事を教えたのはボクだが、著者は400年以上前の人物だ」

「あらそうなの?」



 ダイアンさんは納得し引き下がった。


 なんか巧妙なごまかし方だったな。


 400年前の人物ご本人なのだが、普通はそんな人物生きてるわけないから別人だと誤認させる言い回しだ。


 継承される云々は僕もあまり分からないが、本人が初代なのであれば嘘ではない。


 タルタロスという名だが、著者とは別人という設定で行くらしい。


 ていうか、よくよく考えたらタルタロスがペンネームなら別の名前を考えてそれで活動すればいいのに、何かその名前に思い入れでもあるのだろうか?


 まあ別に僕が何か困るわけでもないし、本人がそうしたいならそれでいいが。


 それからタルタロスさんとダイアンさんは軽い身の上話をしながら食事をし、食事が終わると僕たちはダイアンさんに別れを告げ、店の裏の宿に帰った。

暑くて頭が回らないですね。

室内での仕事ではあるんですが、それでも日中壁に蓄積された熱が夜になると襲ってきます。

あとPCの排熱でも地味にスリップダメージを与えてくるので、卓上に置けるクーラーを買おうか検討中です。

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