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遭遇

「それじゃあリタは荷台で寝るのです、おやすみなさいです~」

「あっはい、おやすみなさい」



 夕食が終わり、リタさんは床に就くようだ。


 意外と彼女も質素な食事をしていた。


 美味しそうな食べ物があったらこの場で購入しても良かったのだが、普通にパンと水で済ませていた。


 商人ってお金持ってるイメージだったけど案外とそうでもないものなのか?


 あるいは節制しているだけか?



「ふむ、結局リタ君が魔族、あるいは魔物である確証は特に得られなかったな」

「あぁ……そういえばそうですね。まあでもあんまり気にしなくてよさそうじゃないですか?悪い人では無さそうですし」

「油断をするのではないよレイ君。魔族は頭も回る。人間を欺く魔族も少なからず存在するのだよ」

「そ、そうなんですね……。気を付けます……」



 欺く……かぁ、なかなか厄介そうだなぁ……。


 でもそんな知能があるなら単身で騎士団の居るルブルム王国に突入しようなんてリスキーな事はしないと思うが……。


 偵察という線ならあり得るのか?


 いやでもそんな目的ならお金を貰って僕たちを乗せていくなんて面倒そうなことはしないんじゃないか?


 うーん……、考えていても仕方ない気がしてきたな……。



「……僕たちも明日に備えて寝ますか」

「賛成だ、寝坊して置いて行かれてはかなわないからね」



 タルタロスさんはそのまま仰向けで、僕は木に寄りかかって就寝する。


 横にならないのは夜襲に対応するために、すぐに立ち上がれるようにだ。


 多少体は凝るが致し方ない。


 一人になってみるとカノンがどれだけ優秀だったのかが分かる。


 カノンと来た道からは完全に外れてしまったから、もはや道中での再開は叶わないのだが、やはりカノンが恋しくなってくる……。




 明朝、夜襲などは特になく、朝焼けに照らされ目を覚ました。


 タルタロスさんも既に目を覚ましているようだが、馬車に居るリタさんはまだ起きていないようだ。


 リタさんが起きるまで軽いストレッチと朝食と、タルタロスさんの世話を済ませる。


 終わった頃にリタさんも起きてきたので、彼女が朝の支度をしているうちに、荷台に荷物とタルタロスさんを積み込む。


 それぞれ準備が終わり、馬車は朝早くから出発した。


 ルブルム王国まではあと一晩かかる見込みらしい。


 ……そしてその日の夕方、野営の準備をしようというところで、僕たちはオオカミの魔物の群れに遭遇したのだった。



「ああ~、ついに出くわしてしまったのです……」



 リタさんは馬を走らせながら言う。


 敵は目視できる限りで8体。


 何度も戦ったことのある相手とは言え、カノンならまだしもさすがに僕一人でこの数相手は無理だ。


 駆ける馬車の後方からじりじりと距離を詰められていく。



「お、追い付かれそうですよ!」

「馬の体力もそろそろ限界です!迎え撃つのですよ!冒険者ならレイさんも戦えるですよね!?」

「多少戦えますけどこの数は……って、え!?「も」って言いました!?リタさんも戦えるんですか!?」

「戦えなきゃ一人で旅なんてしないですよっ!馬車はこのまま走らせて遠くに避難してもらうです!タローさんはそのままで!リタたちはせーので左右に分かれて飛び降りるのですよ!レイさんは右方向へ!せーのっ!!」



 僕は勢いに押され、言われた通りに右側へ飛び降りた。

最近昼間が蒸し暑すぎてずっと真夜中でいいのにって感じです。

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