区別
確証が無いとはいえそんな人物をルブルム王国に入れて大丈夫なのだろうか?
魔族じゃなかったとしても街中で魔物化とかし始めたらヤバいんじゃないか?
「っていうか、魔族って人間と見分けつかないんですか?」
「絶対とは言い切れないが、どこかしらに人間とは違う特徴があるはずだ。おおよそ角や翼や、尻尾のような人間には無いものがある。ボクにも前髪で隠れて分かりにくいと思うが、左眼の上に角になりかけのこぶのようなものがある」
そう言われたので実際に触って確かめてみると、たしかにポコッと小さいたんこぶのような膨らみがあった。
「ほんとだ……」
「ゾワゾワするからあまり触らないでくれ」
「あぁ、すみません。でも一つ気になったんですが、魔物化した人間にもそういう特徴があるなら、魔族と魔物人間の見分けは付かなくないですか?」
「実はその通りなのだよ。詳しい区別は今のところ……ボクがグランブルク王国で研究していた頃の時点ではされていない」
「見た目以外で判別する方法はあるんですか?」
「死亡した時に死体が残るか否か。魔族は瘴気で体を構築している、死亡した場合核のようなものだけ残して消えて無くなる。つまり殺してみないと分からないのだよ」
魔族か魔物か、とりあえず殺せばわかる。
って考えると分かりやすいが、思考がバーサーカーすぎるな……。
「ちなみに魔物化が完了した後、次第に体組織が瘴気に置き換わり魔族になるのではないかという説もある。魔族化説なんて呼ばれていたかな」
「へー……あ、でも魔物化すると瘴気に脳がやられて狂暴化したりするって言ってませんでした?そんな状態で魔法とか魔術とか使えるような魔族に変化するってあり得るんですか?」
「ああ、そのあたりの解明がまだできていないのだよ。解明ができてない以上この魔族化説は説の域を出ない。脳が全て瘴気に置き換わる事で新しく人格が構築されるのではないかという仮説はできても、まだそれらの立証には至っていない」
脳が完全に作り変えられるから、中途半端な侵食で暴走していた状態から正常に戻るという事だろうか?
まあ僕は専門じゃないし良く分かってなくても大丈夫だろう。
「ちなみに500年前の魔王討伐戦ついでに魔族について調べようと、勇者に同行した研究者一行は壊滅。唯一生き延びた一名が今この有様というわけだ」
「そういえばそんな事言ってましたね」
「ボクが君たちに同行する理由に、その時のリベンジマッチをするためという目的も多少含まれている」
「えっ!?」
「魔王を倒しに魔界へ行くのだろう?」
「ま、まあ多分行く可能性が高いですけど……、大丈夫なんですか?魔界に行ったせいで魔物化が進行したりしません?」
「そこはボクの左眼が何とかしてくれるだろう。魔物化が進行してしまった場合の対策も考えてあるから安心したまえ」
「ま、まあ止めはしませんけど……。その時はちゃんと自分の足で歩いてくださいね?」
「善処しよう」
「安心できねぇ……」
アマプラで初期のドラゴンボールを観てるんですが、野沢雅子さんずっと声変わんなくてすごいですね……。