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爆弾

「はぁ、朝からひどい目に会った。……この事はお互い忘れるとしよう」

「そ、そうですね……」



 まだ麻痺が治らず横たわるタルタロスさんが、心なしか余計ぐったりしているように感じる。


 先の事を頭から離すためにとりあえず話題を変えよう。



「この後どうしますか?多分このまま僕が背負ってルブルム王国に帰るか一旦地下基地に戻って体が治るのを待つかの二択だと思うんですけど」

「ふむ、安全を優先するなら一旦ボクの研究所に戻った方がいいが、万が一これが解毒の必要な類の麻痺なのだとしたら戻ったところで徒労に終わる。しばらくすれば治るというのはあくまでボクの見立てでしかないものだ」

「たしかに。カノンが引き返してきてくれるのが一番手っ取り早いんですけどね」

「来るかも分からないものを待っているだけでは何も進まないだろう。それにボクたちは整備された一本道を通っているわけじゃないんだ。引き返してきていたところで落ち合う可能性も低かろう」



 その通りだ。


 ひとまず進むか戻るか、どちらかを決めなくてはならない。



「ボクを見捨てるという選択肢も無い事はないがね。客観的に考えてそれが一番合理的でもある」

「さすがにそんなことしませんよ」

「それは僥倖。まあ決断は君に任せるよ」

「そうですね……、なら進むことにしましょう。時間はかかりそうですけど、万が一の事を考えて着実な道の方がいいと思います」



 麻痺が治らなかった場合ルブルム王国の病院で診てもらえば多分解決するだろうし、引き返してきたカノンと鉢合わせる可能性もゼロではない。


 道中の安全性については僕が気をつければいいだけだ。


 それに多少はレベリングもしておきたい。


 迂回する道になったとしても森林からはある程度離れた場所を歩いて、楽に狩れそうな魔物のが居たら寄り道して狩りつつ行こう。



「では出立する前に一つやってほしい事がある」

「何ですか?」

「ボクの荷物の中に木製のキューブがあるだろう?」



 キューブ?


 サイコロとかだろうか?


 出た目の歩数ずつ進んで行くとか……、いやそんな馬鹿みたいな事するわけないか。


 僕は荷物をまさぐり、手に当たった硬いものを取り出した。


 ルービックキューブより少し小さいくらいの正六面体だ。


 その木製のキューブには1から6の数字なんかではなく、よく分からない幾何学模様のようなものが彫り込まれていた。



「なんですかこれ?」

「魔素体のコアを改良したものだよ。いや、アレから自立する機能を消したものだから改良と言うのは違うかな?そうだな……瘴気を蓄える、リザーバーと言ったところだ」

「えっ!?魔素体のコアって……これ危ないんじゃ?」

「危ないといえば危ない物かもしれないな。その内部は瘴気の塊だ、扱いを間違えれば爆発して辺りに瘴気が充満するだろう。だがボクが管理している以上事故は無いから安心したまえ」



 そんな爆弾持って歩いてたのか……。



「こ、これをどうするんですか……?」

「ボクの眼帯を外して目の前に固定していてくれたまえ」



 あぁなるほど。


 そういえばタルタロスさんは魔素体を瘴気の捌け口にして、自身の魔物化の進行を止めていたんだったか。


 さすがにルブルム王国に魔素体を連れていくわけにもいかないだろうし、こういう形にして別の手段を用意したというわけか。


 僕はそれをタルタロスさんの目の前に掲げる。


 彼女はそれをただジッと見つめる。



「……もうよかろう」

「何もしてないように見えましたけど、終わったんですか?」

「瘴気は通常目に見えるものではないからね。本当はそこに溜めた瘴気を使ってある実験をしたかったのだが、しばらくはおあずけだな」

「変な事企んでないですよね……?」

「ああ、変な事ではなく崇高な事を企んでいるさ」

「結局企んでるじゃないですか!?」



 とはいえまあ、何か変な事をしようとしたら一応僕の主人としての権限で止めさせることはできるんだよな……。


 なんだかんだ誠実なタルタロスさんとはいえ怪しい動きが無いかは注意しておくことにしよう。

もしかしたらモンハンのせいで執筆が疎かになるかもしれませんがご了承くださいまし。

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