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勝敗

 AGIにステータスを割り振ったおかげか、突進してくるウサギの動きが捉えやすくなっている。


 ステータスの変動は感覚にまで影響するのだろうか。


 後で神楽坂にも確認してみよう。


 あれからレベルも5つほど上がりSTRに少し割り振ってみた。


 聞いていた通り実際の筋肉が増強されたわけではないが、断然剣の振り回しが軽い。


 なんとも不思議な感覚だけど慣れるのにそう時間はかからなかった。



「しっかし、LUKがどう影響するのかが未知数だよなぁ……」



 ウサギを探しながらつぶやいた。


 運が良いとか悪いとかは大量の試行回数が無ければ判別が難しい。


 さらに言えば、おおよそのゲームにおいてLUKの効果が目に見えて実感できるようになるには相当のステータスポイントを割り振らなくてはならない。


 まあこれは経験則からの仮定だけど。


 とはいえ時間があったら検証もしてみたいところではある。




 レベルが22になる頃にはもはや討伐に作業感が出てきた。


 相手の突進に対して右前に踏み込み、剣先で首元を斬る。


 葛木君の動きを参考にしたが、あの人、ステータスの補正無しにあの動きをしているんだよなぁ……。


 改めて素のスペックの高さが窺える。


 葛木君がつまらなそうにしてたのもなんかわかる気がしてきた。


 ゲーム最初の村近くで永遠とスライム狩りでレベリングしてる気分になってくる。




 何事もなく討伐を続け、空が夕日で赤くなり始めた頃、遠くから笛の音が聞こえた。


 クレフ隊長からの帰還の合図だ。


 大人しくウサギ探しを止め城門へと戻ることにした。


 なんだかんだ集中してレベリングをしてしまった。


 なかなか効率よく狩れていたと思うが、神楽坂も同じような狩り方に気付いていたら勝敗はどうなるか分からないな。


 そんなことを考えていると、どこからか声をかけられる。



「おーい!篠原ー!」



 聞き慣れた神楽坂の声だ。


 30メートル先くらいで手を振ってた。


 駆け寄るのもなんか小恥ずかしかったから特にペースを変えることなく神楽坂の方まで歩いて行った。



「おつかれさん、なぁ、レベルいくつになったんだ?」



 楽しげな様子で聞いてきた。



「お前はいくつなんだよ?」

「23まで行ったぞ!見てみろ!」



 神楽坂はステータスウィンドウを見せてきた。


 そこにはしっかりと「LV:23」と表示されている


 僕もそれに倣ってステータスウィンドウを開いて見せる。



「残念ながら僕の勝ちだな」



 僕のステータスウィンドウに表示されているのは「LV:24」だった。



「うわ~マジか!負けるとは思わなかったな!結構頑張ったんだけどレベル21あたりから全然上がらなくてさ」

「バカだなぁお前、ステータス割り振ってないじゃんか、効率上げるならちゃんと割り振らないと」



 神楽坂のステータスポイントは220ポイントそのまま残っていた。


 それでもこの僅差となると、ちゃんとポイントを割り振っていたら普通に負けてたかもしれないな。



「いやぁ、なんかもったいなくてさ、篠原はポイント使って狩りするだろうから後でどう割り振ればいいか、実体験含めて教えてもらおうと思ってさ」

「あっ!てめぇ僕を人柱にしやがったな!?」



 神楽坂はニコニコした表情のままベーっと舌を出す、可愛くねぇよ。


 してやられた。


 競争とか言い始めたのは最初からこのためだったか。


 試合に勝って勝負に負けたとはこういうことを言うんだろう。


 僕はあらん限り罵倒しながら、それを笑って受け流す神楽坂と帰路を共にするのだった。

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