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この世界で俺だけが【レベルアップ】を知っている(Web版)  作者: 坂木持丸
第9章 魔剣レベルイーター

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47話 ミミスケの天恵


 ごぅううう――ッ! と、サイクロプスの魔剣が振り下ろされる。

 その眼前で、俺は言った。


「――化けろ、ミミスケ」


 魔剣の刃が迫るが、今度は避けない。

 数多の命を喰らった、いずれ最強に至る魔剣。

 しかし――その刃が俺に届くことはなかった。



「………………ぬ?」



 ざん――ッ! と。

 一筋の剣閃がほとばしり、俺の目の前の景色を駆け抜けた。


 俺に迫っていた魔剣も、サイクロプスも、その背後の景色も……。

 その全てが等しく――ずるり、と横にずれる。

 一刀両断だ。

 しかし、サイクロプスは自分が斬られたことなど意にも介さぬように。


「……な……ぜ……?」


 と、俺が手にしている巨大な剣を眺めていた。

 それから、まるでミミックにでも化かされたように――半分になった手元の魔剣をぽかんと見る。


 その2つは、まったく同じ魔剣だった。

 大きさも、形も、色も、匂いも、手触りも、硬さも、鋭さも、そして――性質さえも。


「剣が同じなら……持ち主が強いほうが勝つのが当然だろ?」


 俺が自分のレベル刻印を見せつける。

 そこに刻まれているレベル――65。

 サイクロプスは、くつくつと笑うような声を出すと。


「………………見事」


 その言葉を最後に、サイクロプスの瞳に輝いていたレベル刻印が消え失せ――。

 すぅっ、と俺の手の甲へと光が吸い込まれた。

 かちり、とレベルが上がる。

 レベル65から、レベル67へ――。



「――討伐完了だ」



 その言葉とともに。

 ずしんっ! と、サイクロプスがその場に倒れた。


 先ほどまでの戦闘が嘘であったかのように、その場に静寂が訪れる。

 その沈黙を最初に破ったのは、俺が手にしている“魔剣”だった。



「ぷはぁ……っ! ひ、ひどい目に遭ったのです……」



 魔剣に化けていたミミスケが、ぽんっ! と人間形態に戻った。

 怖かったのか涙目でぐずっている。

 一方で、ふよふよと近づいてきたフィーコは、なぜか満足げだ。


『ふふ、まさか……ミミスケを魔剣にするなんてね』


「まあ、どこまで模倣できるかは賭けだったが……さすがレベル65の天恵というだけのことはあるな」


 ――【千面万化ジョーカーフェイス


 獲物が欲するものに擬態するミミスケの天恵だ。

 あくまで擬態できるのは“ミミスケが知っているもの”という範囲に限定されるが、その擬態能力の高さはさすがだった。


 思えば、ミミスケは擬態によって山に化け続けていたし、その体内に巨大な遊園地を創り上げることさえやってのけたのだ。

 たかが魔剣1本に擬態できないはずがない。


『ふふん、言ったでしょう? ミミスケはやればできる子なのよ!』


「……まあ、ミミスケにも使い道があるのはわかったな」


『そうよ! ミミスケはいざとなれば、保存食にだってなれるんだから!』


「え……」


『これなら、ミミスケが旅について来ても問題ないでしょう?』


「……べつに、好きにすればいい」


『やった!』


 ミミスケが化けることができる魔剣レベルイーターは強力だ。

 ミミスケに裏切られるリスクを天秤にかけても、手元に置いておくメリットが勝る。


 あくまでミミスケの協力が必要なので、普段遣いするには向かないが……今後は強力な武器となるだろう。

 とはいえ。


「……なに、じろじろ見てるのですか、人間? ……食べられたいのですか?」


 威嚇するように、ふーっ! と睨んでくるミミスケ。

 ずいぶんと嫌われてしまったらしい。

 この好感度最悪の魔物の協力を得るのは、わりと骨が折れそうだ。


「それにしても……まさか、こんな大々的に探し回られてるとはな」


 改めて周囲を見ると、魔物の死体の多さに驚く。

 サイクロプスの言うことが本当ならば、これでも俺への追っ手の一部でしかないということだが。


『それだけ、魔物たちも本気で脱走者あなたを探してるってことね』


「人間だから、もう少し油断してくると思ったが……」


『ふふ……あなたは魔界侯爵のセイレーンを殺したのよ? こんな大事件、今までなかったもの。魔物たちがあなたを“史上最大の脅威”と見なしていてもおかしくはないわ』


「お前……わかってて、セイレーンと戦わせたな?」


『さて、どうかしらね?』


 あくまでも、しらを切るつもりか。


「ふへぇ……なんだか、大変そうですね」


 と、ミミスケが呆れたように言うが。


「なに他人事みたいに言ってるんだ?」


「……ふへ?」


「お前も追っ手を殺しまくっただろ? 俺と同罪だ」


「え……え……?」


『おめでとう、ミミスケ。これであなたも立派な“共犯者”よ』


「おめでとう」


 2人で拍手する。


「………………」


 ミミスケがしばし固まってから、やがて無言で頭を抱えた。

 フィーコの配下になると言いつつも、魔物と敵対する覚悟まではできていなかったんだろう。


「ど……どうして、こんなことに……もうやだ、おうち帰りたい……」


「まあ、落ち着け……な? お前の人喰山脈おうちは、もう俺がぶっ潰しただろ?」


「ぁあぁああ……っ! おうちぃぃいぃ……っ!」


『ちょっと、やめなさいよ。ミミスケのトラウマで遊んでいいのは、飼い主であるわたしだけよ』


「ふぃ、フィフィさま……! どこまでもついて行きます!」


「それでいいのか、お前は」


 まあ、魔物のことなんてどうでもいい。


「それより、さっさとここから離れるとするか」


『ま、そうね』


「え……? あのぉ……ボクはもうちょっと寝たいなぁ、なんて……」


『ここで寝てたら殺されるわよ?』


「ふへ?」


「まあ、あれだけ派手に戦ったからな」


『この辺り一帯に追っ手がいるなら、すぐにここも嗅ぎつけられるでしょうね』


「それじゃあ、ミミスケはここで捨てて行くか」


「ま……まま、待ってくださいぃ……!」


 こうして、俺たちが歩き始めたところで。

 地平線の彼方から、朝日がのぼってきた。

 一戦闘終えたあとの、清々しい夜明け。

 白光が夜を追い出し、止まっていた風がふわりと動きだす。


 俺たちの眼下、朝日にだんだん照らし出されていくのは――ガラスのドームのようなもので覆われた都市だ。


 ――結界都市シーリア。


 そこが、俺たちの次の目的地だった。


……というわけで、9章終了です!

ここまで読んでいただきありがとうございました!


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