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この世界で俺だけが【レベルアップ】を知っている(Web版)  作者: 坂木持丸
第5章 絶対王声都市

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22話 次の目的地


「強い魔物を倒したいと思ったら……どこかの町に入って、爵位持ちの魔物と戦わないとダメってことか」


 となれば、次にすべきことは――都市の襲撃か。


『ま、そうね』


「……なかなか面倒な時代になったな」


 レベルを上げなければならないが、そのためには都市や軍事拠点を襲わなければならない。

 だが、そうすれば当然、目立ってしまう。


「そうだ、お前がそこらの魔物に憑依して、【輪廻炎生】の力で復活しまくれば……」


『却下』


「ダメか?」


『ダメ。痛いし』


「痛くしないなら?」


『いや、そもそも、そんなぽんぽん憑依なんてできないわ。べつにわたしは憑依が専門ってわけじゃないもの。相手がわたしの憑依を嫌がれば体から追い出されちゃうみたいだし、高レベルの魔物だと憑依にも耐性がありそうだし』


「そんなうまい話はない、か」


 どのみち、不死系の魔物は、倒すたびにレベルも上がりにくくなっていくからな。

 先ほどの案を実行するにしても、それなりに強い魔物と戦いたいところだが……。


「で、この辺りに強い魔物はいるか?」


『えっ、教えてほしいの? ねぇ、教えてほしい?の』


 ……たいてい、ただでは教えてくれないんだよな。

 この不死鳥、性格悪いし。

 少しでも頼ろうとすると、すぐ弱みにつけ込もうとしてくる。


「……今回の代価はなんだ?」


『うーん、そうね……あなたの指1本食べさせてくれたら考えなくもないわ?』


「そんなに俺を食べたいのか」


『ふふふ……そろそろいい感じに肉もついてきたし、味見したいと思って……』


「おい、よだれ垂らすな」


 霊体のくせに匂いをかいだり、よだれ垂らしたり、なんでもありすぎるだろ。


『指が嫌なら、わたしを満足させるものを貢ぎなさい』


 そして、霊体のくせに無駄にわがままだ。

 思わず、溜息が出る。


「それじゃあ……猪の骨髄でどうだ?」


『骨髄?』


 鍋に突っ込んでいた出汁用の骨をひとつ取り出し、ナイフで縦に割った。

 中につまったにくはまだ溶けきっておらず、ぷるぷるの肉といった感じだった。軽く塩をふって“手火フェオ”の魔法で表面を炙ってやると、次から次へと肉汁がとめどなくあふれ出てくる。


「骨髄はスープの出汁として食べたことはあるだろうが……そのまま焼いて食べたことはあるか?」


『そ、そんな野蛮なもの、食べたことあるわけないでしょう?』


「まぁ、骨髄といってもぷるぷるの肉みたいなものだ。濃厚な脂がたっぷりで口の中でとろけるぞ。パンにつけてもなかなかいける」


『……魔界七公爵であるこのフィフィ様の力を借りるのよ? わたしが骨なんかで釣れるほど、安い魔物に見えるのかしら?』


「なら、いらないんだな」


『そ、そんなことは言ってないじゃない! もう仕方ないわね! 今回だけよ!』


 誇り高き不死鳥、安い魔物だった。

 いや……なんでこいつって、意味もなくいったん否定から入るんだろうな。


 まぁ、骨髄なんていくらでも手に入るし、いくらでもくれてやるが。

 冒険していれば、どうせ嫌ってほど食べることになるし。

 どこでも簡単に手に入って、栄養豊富で、保存が効くからな。


「で、情報は?」


『ちょっと空飛んで見てくるわ』


「この辺りの地理は知らないのか?」


『知ってた気がするけど忘れたわ』


「……インコ頭」


『ほ、他の魔物の領地なんて、わざわざ全部覚えてるわけないでしょう? どうせ空を飛べば、どこになにがあるかなんてわかるんだから』


 そう言って、フィーコは両手を広げてぱたぱたさせながら飛んでいった。

 それから、俺がスープをあらかた食べ終わったころ、地上に戻ってくる。


『あー! スープ、もうほとんど残ってないじゃない!』


「お前が遅いのが悪い。で、情報は?」


『……遠くに大きな“養殖場”があったわ。人間の足で2~3日の距離かしら』


「養殖場……というと、魔物が人間を食うために育ててる町か」


 俺がいたオーガの町みたいなところだろう。

 前にフィーコから聞いた話では、今では人間の町のほとんどが、そういう“養殖場”とのことだった。それ以外の町でも、人間が魔物に支配されて税や生贄を捧げてはいるらしいが。


「大きな町ってことは、そこを管理してる魔物もそれなりのレベルだと考えていいのか?」


『そうね。町の大きさは領土の大きさみたいなものだし。町が大きくなるにつれて管理する魔物もたくさん必要になってくるから、そうなるとまとめ役になる高レベルの魔物がいるはずだわ』


「なるほど……まぁ、とりあえず、その町に行ってみるか」

 

 そんなこんなで、次の目的地が決まったのだった。



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