坂東風ヴァイスバルト
バルトの楽園、という映画がある。
暴れん坊将軍で有名な松平健と、ヒトラー最期の12日間で日本では知られるブルーノ・ガンツが主演の映画だ。
なかなか興味深い映画である。たとえ敵対していたとはいえ、相手もまた同じ赤い血が流れる人だって事を忘れてはならないと思う。また、遠くの良い文化を吸収してこちらの良い文化を伝えるのも、日本はそれこそはるか神話の時代から繰り返し続けてきたルールだと思う。
ドイツと言えば、人間色々あるもので中二病にかかった人は一度はドイツ語に手を出すという。
自分もそうだ。日本語とはだいぶ離れ、フランス語ほど上品でもイタリア語ほどフランクでもなく、ドイツ語の良くも悪くも腰を据えた響きが中二病の心を打つのだろう。
確かに響きはいいよね、クーゲルシュライバーと言ってみる。意味はボールペン。
まったく、それこそエターナルフォースブリザードに匹敵するほど、言葉の響きの美しさが完成度を通り越して完成に至っている。
さて。
そんなドイツの話をしていたらソーセージが食べたくなったので、ソーセージでも食べよう。
最近のソーセージは便利なもので、すでに加工処理されているのでそのまま食べられるのも少なくない――――――けどやはり熱を通したほうがおいしいので熱は通す。
ソーセージは焼きがいい茹でがいいという論争はきのことたけのこ、赤いきつねと緑のたぬき、ポカリスエットとアクエリアスぐらい続いて来ているので、この際どちらの意見も不採用。
新しい答えが必要だ。
そして、その答えがこれって訳だ。
ソーセージを耐熱皿に並べて乗せる。自分は二本でやることが多い。三本だと少し多すぎるかも知れない。
四本ならば二本ずつペアを作っておこう。
つまようじでソーセージに穴をあける事は忘れない。
その上に乗せるはチーズ。スライスチーズの奴でいい。ソーセージとチーズ。まさにお決まりのコンビだが、ここでやるべきことはレンチンだ。
焼きでも茹ででもない、第三の答えと言ったらもうレンチンだろう。第四勢力がそのままって寸法で行けば第三極としてのレンチンは理にかなっている。
なにより、楽だ。焼かない、ボイルしない。手間をかけずに行こう。
どれぐらいレンチンするかというと、長くなくてよい。500Wでも2本で20秒から30秒でいい。とろけるチーズをのせたのならもう少し長めでも。
あとは簡単。
チーズの上から、刻み葱を散らして、ポン酢を少々。
坂東風ヴァイスバルトだ。
ヴァイスバルト―――――――要は白髭。坂東風シロヒゲ。なぜ坂東か?
バルトの楽園とはなんの関係もないし徳島県鳴門市に縁があるわけでもない、でもそんな風に名付けても良いと思う。ドイツと日本の文化交流って意味を込めて。
ビールでもよいし日本酒でもよい。つまみとして楽しむには良いものだし、単体で小腹を満たしても良い。
朝ごはんに添えてもお勧めだ。パンでもご飯でも、きっとおいしく頂ける。
ポン酢を醤油とかごま油に変えても美味しい。
どんな時も対抗馬や第三極の様子を見ておくことは大事だ。視野を広く持て。
たとえマイペースだっていいんだ。色々なものを見ていい。
インターネットの海でも、新しいものを見ることはできるさ。そういう存在であるべきなんだ。見て、知って、理解しようとかみ砕いて、理解しようと手を出すことも――――――その始まりとして充分すぎる。
坂東風ヴァイスバルト、かける葱を玉葱にしたらまた別の名前になるなぁと思うぐらいに。
玉葱なら玉葱ポン酢で更に玉葱重ねにしてしまうか。
玉葱ならサウザンアイランドドレッシングなんかをかけてしまうと――――――――ドイツから一気にアメリカにとんだ気がするような味になる事だし。
ほら、簡単に世界中飛び回ってるような真似してるだろ。