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ぢ・大○堂

 アタシの頭の中に、一つのイメージが浮かんでくる。

 朝ごはんを食べながら新聞を広げているパパ。

 ページをめくるためにバサバサって新聞を持ち上げて、その新聞の下の方に見える広告。

 冷蔵庫から牛乳を取り出そうとしてるアタシにもハッキリと見えるぐらい大きく描かれたまると、なか平仮名ひらがな一文字ひともじ


 そうかー……大変だぁ……。

 優乃ちゃん、になっちゃったのかぁ……。


 優乃ちゃんのおウチは、空手道場を経営していて、優乃ちゃんも、このかわいい声からは想像できないけど、全国大会の常連だそうだ。

 そのうえ、この高校に入ってからも、剣道部に入部して出場メンバーに決まりかけてるほどのがんばり屋さんなのだ。

 やっぱり、あーゆー武道とかきびしいトレーニングはお尻とかに悪いのかなぁ。

 アタシの空気が変わったことに気づいちゃったのか、優乃ちゃんは「?」って顔でアタシを見てる。

 アタシは、そんな優乃ちゃんの顔の後ろに、大きな丸の中に大きく“ ぢ ”と書かれたマークのまぼろしを見てる。

 ごめん、優乃ちゃん。


「もう大丈夫なん?」ってアタシが心配してくと、優乃ちゃんはニッコリ笑う。

「おねえさんがな、合うのを選んでくれたから、だいぶと楽かなぁ」

 そして、ウフフと笑う。

 お薬かなあ。

 そうか、お薬って体質に合うかどうかも大切って言うもんなぁ……。


「みんなには言わんといてな」と優乃ちゃん。

「大丈夫。

 絶対、誰にも言えへんよ」とアタシ。

 そんな大事な秘密をアタシに話してくれた優乃ちゃん。

 教室に来た時の明るいノリは、笑い話にするしかないって、少しムリしてたのかな。

 えらいなぁ。

 女のコだし、ショックだったろうなぁ。


 アタシは優乃ちゃんを、ちょっと強引に引き寄せて抱きしめた。

「あ、え? 舞夏ちゃん?」

「大丈夫やで、大丈夫やからね、優乃ちゃん。

 しんどいことがあったら、いつでも言うてな」

「あ、うん、ありがとう。

 あれ? あれれれれ?

 何かおかしい、何かおかしいよ、舞夏ちゃん

 あれれ?」

「おかしくない、おかしくないよ、変なお病気じゃない、意外と女のコには多い病気らしいからね、大丈夫、心配ないねんで、優乃ちゃん」

「え?病気?

 いや、だから舞夏ちゃん、何かおかしい。

 何かちがう、違うよ?」

 そして優乃ちゃんは、「ちょっと待って、ちょっと待って、ちょっと待って」と言いながら、ジェットコースターのセーフティバーを外すみたいにアタシの両手を持ち上げて外して「あのね、舞夏ちゃん、何かおかしいよ?」とアタシを真正面から見る。


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