旅立ちと二人暮らし
俺は目覚めると目の前にユーフィの寝顔。あぁ…可愛いな~。
「んん…あ、おはようございます」
「あ、あぁ…おはよう」
「んん~…おはようのキスをしてください」
な、何ぃ~!?これは夢!?よし、夢だな。夢なら問題ないな。
「んん~」
「……は」
「は?」
「きゃあああああ!!」
ボコボコにされた。間違いなく‥夢では…なか…った。
「す、すみません! と、突然のことで私」
「あぁ、いいよ。昨日いきなりお城から出たんだ。仕方ないさ…俺も寝ぼけてどうかしてた。ごめんな」
「…」
あれ?じっと見つめて来てどうしたんだろう?
「どうかしたか?」
「い、いえ! なんでもないです!」
むむ!これはPCゲームをしている時のフラグ的な物を感じる。どうする?どうすればいい?くそ!選択肢が出ない!ここは…そうだ!
「そういえばどうして一緒に寝ていたんだ? こっちは俺の布団だよな?」
「え? 一緒に寝るものなんじゃないんですか?」
そういうものなのか?いや、子供と一緒に寝るのは親なら当然。この世界ではそういう文化なのか?ん?ということは俺はこれから毎日ユーフィと一緒に寝るということか!
「あ…あの…凄い気持ち悪い顔をしていますよ?」
しまった~!?選択肢を間違えた!なんたる罠!リアル恋愛ゲームは難しいぜ。
俺たちは宿屋でご飯を食べる…凄い距離を取られて悲しい。自業自得だけど。
「そういえば色んな国をみたいと言っていたが候補はあるのか?」
「ご飯中のお喋りはマナー違反ですよ」
幼女に叱られたら、従わなくてはいけないな。ご飯を食べ終え、早速今後について、話す。
「私はシンス王国のウィンディーヌの村という所に行ってみたいです」
「ディエスの町で聞いたことがあるな」
「はい! ディエスの町から南にある自然豊かな国がシンス王国です! そこのウィンディーヌの村というところには大きな湖があって、とっても綺麗だそうですよ?」
ディエスの町には預けた宝石とか取りにいかないといけないからちょうどいいな。ただディエスの町に行くとなるとサ二ーラ王国の連中と鉢合わせになる可能性もある。旅用にフード付きのローブを買ったほうがいいかもな。
その後、旅の支度を終えて俺たちはまずディエスの町に立ち寄るとサ二ーラ王国はまだ来ていなかった。俺は預けた宝石などを売り、半分を売り生活資金にする。これでお金に困ることはないだろう。
なぜ半分か?もし異世界の旅を続けるなら資金はどうしても必要になる。しかし貨幣が異なることが判明したからどんな異世界でも資金になりそうなものとして宝石を選んだわけだ。
外に出るとサ二ーラ王国の一行が到着するという知らせが町中に流れていた。
「あの…ケーゴさん」
「大丈夫だ。ユーフィは宿にいてくれ。俺は馬車の予約をして」
ユーフィが俺の服をギュッと握ってきた。そんなことをされたら、俺はユーフィを一人にするわけには行かなくなった。
「連中が旅立つまで、宿に隠れていよう」
「…はい」
サ二ーラ王国の連中が町に入るとのんびりするかに見えたら、慌てたように出発していった。俺が話を聞くとユーフィリア王女のことをアグス王子が知り、怒り心頭で出発したらしい。あえて言おう。ざまー。
その後、俺たちは馬車を予約し、シンス王国のウィンディーヌの村に向けて出発した。
森に入り道を走っているとユーフィの様子が変だ。足をモジモジしている。
「…どうかしたのか?」
「い、いえ! なんでもないです!」
しかしユーフィに我慢の限界が訪れた。
「あの…おトイレに行きたいんですけど…」
俺の脳内に熟女女神の雷を遥かに凌駕する雷が落ちた。待て待て。ここで変な顔をしたら、ダメだぞ。俺…クールに対処するんだ。俺は場所の運転手のおっちゃんに話しかけた。
「あの…すみません。この辺りに村とかってありますか?」
「ん? いや、こんな森の中に村なんてないさ。次の村まで二時間はかかるよ」
俺がユーフィを見ると絶望的な顔をしていた。しかしこうなると取るべき手段は一つしかない。
「すみません。連れがトイレをし忘れたらしくて、馬車を止めてくれますか?」
「はいよ」
そして俺はユーフィに最終手段を告げる。
「…本当に外でするんですか?」
「それ以外に方法はないだろう? 俺たちはここにいるからさ」
「…う~。ぜ、絶対に見に来ないでくださいね! 見に来たら、怒りますから!」
そういうとユーフィは茂みに中にいった。さてと…俺はロリとの約束は守る男だ。故に俺は馬車で座禅を組み、目を閉じる。
「はぁああ~」
「あの…お客さん? 何をしているんですか?」
「静かに!」
「は、はい!」
俺はここにロリコンの真の能力を見せよう!
自然の音と動物の音をカット!俺の耳は正確にユーフィが出す音のみ感知する。更に脳内で映像を完全再現!俺ほどのロリコンなら見る必要なく、音のみで映像の完全再現ぐらい動作もない!
ユーフィが帰ってきた。
「…すみません。お待たせしました。…あの…どうして鼻から血を出しているんですか?」
「男にはよくあることだ」
ユーフィが俺に疑いの目を向け、運転手に聞くが回答はここから動いていないだ。それでもユーフィの疑いが晴れることはなかった。
俺たちはいくつかの農村を経由して、遂に目的地ウィンディーヌの村に到着した。
「わぁ~」
今までの道中も目を輝かせていたが、大きな湖を見るその目は眩しいくらいに輝いていた。大人では決して出せない輝きだな。
その後、村を回ると本当にのどかな村だ。どうやらこの湖での漁業が盛んな村らしいな。後は森があるからそこで木の伐採や狩り、木の実や食用の草などで生活しているらしい。
「水が冷たいですよ! ケーゴさん!」
あぁ…笑顔が眩しい。スカートをめくる姿とか最高だ。だが、悲しきかな。俺のロリコン能力を持ってしても男のロマン。水たまりパンチラを拝める事が出来ないことを俺は知っている。
これは物理学が限りなく不可能であること証明している。鏡なら間違いなく見えることは誰しも知っているだろう。だが水だと水面に入射した光は、一部が反射すると同時に一部は水中に透過してしまうのだ。
これは近づけば近づくほど透過が高くなることがわかっている。つまりほぼ垂直で水たまりを見ても暗くて見えないという現象が起きるのだ。これはスカートを履いていなくても同じ。
この透過をなんとかするためには距離を置けばいいのだが、ギリギリのミニスカートだとしても約1メートルがパンツが見える限界ラインでその範囲内では透過で見えないというなんとも男の夢を踏みにじる結果となってしまうんだ。
「待てよ。ここは異世界…ならばひょっとしたら」
はい、見えませんでした!それでも俺は諦めない!いつか男のロマンが実現する異世界に行ってみせるとここに誓った。
「ふぅ…風が気持ちいいです」
「随分気に入ったみたいだな」
「はい! お食事は美味しいですし、湖は綺麗ですし、大満足です」
そんなに気に入ったなら、提案しているか。
「それならここに家でも買うか?」
「え!? …いいんですか?」
「お金ならたくさんあるし、問題ないさ」
ということで夢のマイホームを買うことにした。しかし出来上がるまで、時間がかかるそうでそれまで宿でお世話になった。
そして俺たちの二人暮らしが始まった。俺たちはまず湖で釣りをした。
「来た!」
「え!? あ、引いてます! ケーゴさん、頑張ってください!」
ユーフィの応援!ロリコンの全能力が100上昇した。
「どぉせぇええええい!」
俺は見事に釣り上げた。ロリコンに不可能はない!しかし釣った魚を見て一言。
「「魚?」」
その魚はレインボーなアフロ姿だった。
「ファンタジー」
「お前がそれを言うんかい!」
「え!? この魚、喋りましたよ!? ケーゴさん! お魚って話すんですか!?」
「いや、俺もちょっと聞いてことがないな…」
ここで問題が発生する。
「…食べる?」
「私には難しいです…」
というわけで湖に返すと昨日食べた料理に使われていることが夕飯の時に判明し、ユーフィは口を押さえていた。
翌日は二人で森に向かった。流石に狩りは難易度が高いので、木の実などを狙ったわけだが、ユーフィは小鳥に群がられていた。
「鳥さんがいっぱいです!」
「良かったな」
「あ、ケーゴさんにも行きましたよ!」
本当だ。人懐っこいのかな?そう思った瞬間、啄かれまくった。凄く痛い。
「あはははは! ケーゴさん、大丈夫ですか?」
「あぁ…痛かったが大丈夫だ」
「あ、血が出てます。ちょっと小鳥さん、ごめんなさい」
ユーフィが俺の顔に杖を向ける。
「ヒーリング」
すると杖から緑の光が出ると俺の顔の傷がなくなった。これは治癒魔法!?
「ふぅ…終わりです」
「さっきは治癒魔法か?」
「はい…一応秘密でお願いします」
ふむ。それなら俺も能力を見せようかな。ユーフィに距離を取らせ、木の実に向けてアポーズを使う。すると手に木の実が現れた。よし、成功だな。
「もしかしてさっきのはケーゴさんの魔法ですか?」
「あぁ。物を引き寄せる魔法だ。ただあまり使ったことない半人前なんだよ」
「えー。それは練習しないとダメですよ」
なら練習するかと思ったと思ったら、可愛いリスが木から降りてきた。そしてユーフィに近づく。
「わぁ! 可愛いリスさん! こっちにおいで」
ユーフィが前かがみで手を差し出す。俺はそれを見ているとリスはなんとユーフィのスカートをめくった。
「ぶっ!!」
「きゃあああ!?」
なんてことをしてくれるんだ!このリスは!すると目が合う。
「ありがとうございます!」
「きゅ!」
いいってことよ!と言っている気がする。俺は同士に出会った。それからユーフィが暫く口を聞いてくれなくなった。俺のせいじゃないのに…。
暫くすると家が完成し、俺たちは一緒に住むことになった。俺もユーフィに言われた通りアポーズの練習した。どうやらこの魔法は自分を中心に約1km範囲の物を引き寄せる能力のようだ。
つまりリックの中でも触れずに取り出せる!そう思い、アポーズを使うと手にはユーフィが最初に着ていた水色パンツがあった。
「ケーゴさん?」
「はっ!? いや、これはアポーズの事故で」
「問答無用です! 早く手から離してください!」
こうして具体的な物を思い浮かべることで制御が可能であることが判明した。つまり俺は幼女の履いているパンツであっても手に入れることが出来る能力を得た!
「私に使ったら、二度と口を聞きませんからね」
「…はい」
ユーフィもだいぶ普通の生活に慣れてきた。するとある日、ユーフィが話す。
「ケーゴさん、ありがとうございます」
「どうしたんだ? 突然」
「いえ、ちゃんとお礼をまだ言ってなかったなと思いまして。私はずっとお城の外…こういう生活に憧れていたんです。ずっと部屋の中で私は生きるってなんだろうと思ってました。今でも上手く言えませんが私は今、生きているとはっきり言えます」
お城で軟禁のような生活では生きている感じがしなかったというところか。この場合は充実して生きているんだろうか?という疑問な気がするな。
「ここでの生活は楽しいか?」
「はい! 毎日知らないことばかりでとっても楽しいです! だからありがとうございました」
このユーフィの笑顔こそ俺がこの世界に残した宝だな。そんな幸せな毎日はその日の夜に潰された。
『よ~う~や~く~見~つ~け~た~わ~よ~』
脳内にフィーネの声が聞こえた。