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温かい家庭と王女の事情

ランダム転移した俺が見たには星空。これが異世界の星空…綺麗だ。


すると風を感じる。いや、正確に言うと落下するときに発生する風だ。そう…俺は空に転移した。


「嘘だろぉおおお!?」


そして家に落下した。


「い…痛い…」


「おい! 君! 大丈夫か!? 何があったんだ!? しっかりしたまえ!」


俺は意識を失った。



目が覚めた俺はベッドにいた。起き上がろうとすると背中に痛みが走る。ヤバい…折れてないよな?異世界に来て下半身付随とかきつすぎるぞ。


暫く天井を見ていると優しそうな女性が入ってきた。


「あら? 目が覚めましたか?」


「はい。あの…ここは?」


「ここはパラディス王国とサ二ーラ王国の間にあるディエスという町の私たちの家です」


うむ…見た感じ。二回目に訪れた村より、だいぶ裕福な町みたいだ。


「何が起きたか覚えていますか?」


「…いえ。俺は一体?」


本当は知っているがここは記憶障害のフリをしよう。


「そう…覚えていないのね。ん~…じゃあ、まずはご飯にしましょうか! お腹空いているでしょう?」


「…はい。あの…ありがとうございます」


「ふふ。どういたしまして」


優しいそうな女性が出ていった。胸が痛い!凄い罪悪感が!俺はロリコンで大人の女性に絶望した男だが、それでも熟女の一割以下の確率で本当にいい人がいることはわかっているつもりだ。あの人はきっと貴重人種だ。


しかしランダム転移でこの家に落下しましたとは言えない!見た感じファンタジーっぽくない異世界だからな。それから心が痛みながらご飯を頂き、自己紹介をして貰った。


「私はラムリス。あなたは…名前はわかりますか?」


「俺は…ケーゴです」


「ケーゴさんと言うんですね! 良かったです! 名前を覚えているなら記憶は直ぐに治るかも知れませんね」


俺がゲームの主人公に使う名前を使ってしまった。しかしこれならセーフだろう。というわけで俺は暫くお世話になった。そこでこの世界のことを知った。


まず、俺はファンタジーっぽくない世界と言ったが思いっきりファンタジー異世界だった。魔法使いも存在し、モンスターもいるらしい。ただし魔法が使えるのは才能がある人のみでそういう人は徴用の義務があるそうだ。


徴用とか絶対無理だ…俺は寧ろ敵前逃亡を真っ先にするからな。もし幼女の命が危険なら命を賭けるが、それ以外は論外だ。つまり俺は転移を簡単にするわけにはいかなくなってしまった。


それから俺はラムリスさんの夫であるクロスさんに元気になるまで、家にいて良いと言われ、暫くお世話になることになった。


一週間で体が動くようになると俺はクロスさんに働きたいとお願い、彼が社長をしている運送会社で荷物運びをした。


俺はロリコンで社会と人に絶望したくず人間だが、恩を返さないほどのくずではない。最低限、屋敷の修理代とお世話になった食費や薬代ぐらいは返したいと思った。


働いていると大体のことが理解できるようになる。まず通貨は硬貨と紙幣。これについては完璧に理解した。そしてこの世界で一番高価なのは金塊でその次が宝石らしい。ある程度、地球文化と似ているということだ。


ただ違うところはやはり文化。まず馬車が思っきり、モンスターだった。そりゃあ、巨大チーターとかと比べられても馬が困るだろう。どうやらモンスターごとにお金が違っており、速さと荷物を運ぶ量で値段が変化するそうだ。


更に俺たちの言葉でいうなら魔法アイテムがあった。ただし地味。走る早さが上がる靴や荷物が多く入るバック、マッチ箱に入っている発火する粉。普通に現代でもありそうなものだ。ただし効果は遥かに便利なものだと思う。


少し生活してわかったことはファンタジーだけど、そこまで地球と変わっていない異世界という感じだ。

そして二週間働いたある日、俺は同僚から気になる話を聞いてしまった。


「もうすぐユーフィリア様もこの国からいなくなっちまうのか…」


「可哀想だけど仕方無いさ…サ二ーラ王国ほどこの国はお金が無いからな」


俺の胸に痛みが走る。


「…なんの話ですか?」


「ん? あぁ…君は知らなかったのか? もうすぐこの国の第一王女ユーフィリア様がサ二ーラ王国に嫁ぐんだよ。まぁ、実際はサ二ーラ王国のアグス王子が大金でユーフィリア様を買うようなもんさ」


「おい…言い方に気を付けろよ」


「おっと…そうだな。悪いがさっきのは無しで頼む」


この国の王女が嫁ぐ?それってまさか!?


「あの! ユーフィリア様って、もしかして短い水色の髪だったりします?」


「あぁ。まだ12歳の女の子さ」


俺のロリコンとしての勘が告げている!間違いない!あの水色の下着!じゃない…水色の髪の女の子だ!しかも金で買うだと?ふざけるな~!


その日の夜、俺はクロスさんとラムリスさんに話す。


「そう…記憶が戻ったのね」


「俺が二週間稼いだお金はいりません。全然足りないとは思いますが屋敷の修理代やもろもろお世話になったお金の返済と思って、お受け取りください」


「気にすること無いんだが…行くのかい?」


「はい…俺にはどうしてもやらないと行けないとことがあるんです」


するとクロスさんは笑うと俺に待つように言うと席を外す。帰ってきたクロスさんの手には服と剣、バックなどの旅に必要なものがあった。


「私が息子のために用意していたものだ。持っていきなさい」


「え!? でも息子さんの物を受け取るわけには」


「いいんですよ…私達には子供に恵まれなくてね。二人で決めていたんです。あなたが記憶が戻って、この屋敷を出ていく時に渡そうと」


「君が我が家に落ちてきたとき、神様が我々に子供をくれたような気がしてね。これは君が我々に夢のような一時をくれたお礼だ。受け取ってくれ」


俺は受け取るしかなかった。しかもお金まで渡された。この恩義はしっかり返さないといけないだろう。


着替えた俺は自分の私服をバックに詰めて旅立ちの時を迎えた。


「本当に…お世話になりました!」


「達者でな」


「体には気を付けるんですよ」


「っ…行ってきます!」


俺は振り替えることなく、走り出した。俺はロリコン!温かい家庭より幼女を選ぶ男だ!あの子が買われるタイムリミットはもう一週間もない。通常の手段で大金など手に入れることは不可能だ。


だが、俺には起死回生を可能にする能力がある!俺が考えているのは普通に犯罪だが、幼女のためなら俺は喜んでいる手を汚そう!


まず、バックの数が圧倒的に足りない。俺は魔法アイテムを扱うお店に入ると軍人のようなエプロン姿のおっちゃんがいた。


「あの…一番荷物がたくさん入るリックが欲しいですが…」


「…」


黙ってお店の奥に行くと俺より大きいリックを持ってきてくれた。


「…1万アニだ」


アニは通貨単位。円と大差ないんだが、安いな。


「二つありますか?」


「…あるよ」


俺はお金を支払う。


「…毎度」


顔は怖いがいい人みたいだ。これで準備は整った。いくぞ!俺に残された手はこれしかないんだ!


「ランダムテレポート!」


便器に落ちた…またかよ!

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VRMMOもの『Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師』を以下のリンク先で連載中です。

Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師
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