小さな王女とロリコン
ここはとある異世界のパラディス王国の王城の一室。そこには空色の髪の小さな王女が着替えながらため息をこぼしていた。
「はぁ…私も後一ヶ月で…いっそ外の世界に行ければいいのに…」
彼女がそう言った瞬間、王女のベッドに賢吾が落下してくる。
「いって~…何が起き」
「…」
これが賢吾と小さな王女の出会いだった。
俺の目の前には下着姿の滅茶苦茶可愛い幼女。
「でへ」
「きゃあああああ!? 誰か! 変な人が!」
「変とは失礼な! 俺は幼い女の子を心の底から愛する男だ!」
俺がそう叫ぶと部屋に甲冑を来た騎士が入ってきた。
「侵入者だ!」
「王女を守れ!」
「貴様! 何者だ!」
「さっき言っただろうが…仕方無い。物分かりが悪いお前たちに分かりやすく教えてやるよ。俺は…ロリコンだ!」
俺は牢屋に放り込まれた。
「やれやれ。これだから一般人は嫌いなんだ」
それにしてもあの子、可愛かったな。下着も大変グッドだった。リアクションも顔を真っ赤にして、完璧でした。しかし気になることがある。
「…何で泣いていたんだ? あの子」
叫びれる前、俺と目があった時に彼女の頬に涙が流れていた。あれは俺のせいで流れた涙ではないはずだ。
泣いている幼女は助けなければロリコンは名折れだ。しかし現状どうしようも出来ないな。異世界転移を何度もしようとしたがダメだったし…困ったぞ。
すると異世界転移のことを教えてくれた声が聞こえた。
『やぁやぁ。いきなり面白いことを起こしたみたいだね』
「そういえばお前は誰なんだ? あのカードをくれたのもお前だよな?」
『正解。僕の名前をピット。面白いことが大好きな神様さ』
何でもありだな。神様。まぁ、いいや…それよりもまずは異能力について聞こう。
「そうか。じゃあ、ピット。異世界転移が使えないんだが、どういうことだ?」
『異世界転移は転移した先の時間で30日経過しないと使えないよ。異世界に行くのは簡単じゃないってことさ』
それでも30日で異世界に行けるのは十分凄い。しかし30日このままはきつい。
「普通の転移とか出来ないのか?」
『出来るよ』
マジか!なんて素晴らしい能力だ!小さな女の子の部屋に侵入し放題じゃないか!おっといかん。つい欲望が‥俺はロリコン。ここはクールダウンだ。
『ただし君のレベルだと転移はランダム転移になる』
「レベルってことは使えば使うほど能力の力が増すってことか?」
『その通り。ただ転移能力者のレベルをあげるのはかなり厳しい道になる。ランダム転移って言うのはそれだけ危険な能力なんだよ』
そこまで言うほどのことなのか?
『例えば君の言葉を使うなら宇宙空間に転移したら終わり。他にも君が生きていけない星に転移しても終わり。生きていける星に運良く転移出来ても、深海や地中に転移しても終わりだね』
ランダム転移の恐ろしさを知った。そして気になることがある。
「それはもしかしなくても異世界転移でも起きることだよな?」
『そうだね。いや~、運がいいね! 君! かなりの確率だよ! 世界の殆どは生物が生きていける環境じゃないからね』
だろうよ!普通に考えて宝くじで1等当てるより遥かに凄い確率だろう。とはいえどうせ異世界転移を使わないと行けないんだ。それで死ぬなら仕方ないと諦めるしかない。
「ランダム転移はすぐに出来るんだな?」
『出来るよ。ただ日に何度も使える物じゃない。かなり疲れる能力だからね。おっと…そろそろフィーネが来そうだから逃げないと。ランダム転移はランダムテレポートと唱えると使えるからね。じゃあ、面白い異世界旅を!』
聞こえなくなった。それじゃあ、ランダム転移行きますか。
「ランダムテレポート!」
俺は牢屋から転移すると水に落ちる。
「何処だ? ここ? って、くっさ! なんじゃこの臭い!? おえ~! 鼻が曲がる~!?」
鼻を抑えながら周囲を見る。そこは木に囲まれた部屋だった。というか俺の視線が妙に低い…そこで俺は絶望的な事実を知ってしまった。俺がはまっているのは木で作られた便器の穴だった。
「うぎぁあああああ!?」
最悪だ!最悪!俺の世界では綺麗な便器だったが、綺麗な便器の前にはぼっとん便所というものが使われていた。水で流すのではなく、直接下に落とすだけの便器だ。
その直接落とすための便器の穴にはまっている俺は足が諸に濡れている。この絶望的な事実に俺は泣きたくなった。
「死にはしなかったけど、これは酷すぎるだろう…」
俺の最初のランダム転移は悲惨な結果となった。その後、トイレから出ると男に出会う。
「おいおい? どうしたんだ? お前? 臭いぞ」
「足を滑らせて、穴に落ちたんだよ」
「まさか便器のか? あはははは!」
俺はロリコン。幼女を愛する者だ。
「お前、バ」
「おらぁあああ!」
幼女意外なら容赦なく殴る男だ。
殴った男から財布を奪い、俺は逃走する。人をバカにした罰だ。俺は途中で用水路を見つけると足を洗う。まだ臭うがどうしようもない。消臭剤の偉大さを俺は痛感している。
その後、俺は村に辿り着く。お店に入り、お金の使い方を覚える。やはりお金の使い方を覚えるならお店に入るのが一番だ。いきなりお金について教えてくれでは変な奴丸出しだからな。
俺は主婦の多くが買っていたリンゴっぽいものを買い、異世界初の食事をする。
「…なぜグレープフルーツの味なんだ?」
まぁ、そんなこともあるんだろう。何せ異世界だからな。
「いた! あいつだ! 俺をいきなり殴ってきて、財布を盗みやがったのは!」
俺は逃げ出し、建物の影に隠れるとランダム転移で逃走に成功するのだった。




