プロローグ
男はアニメや漫画が大好きの普通のオタクだった。しかし社会が彼を変えてしまった。
社会に出た彼は大手の企業に就職したが一年間いじめられ続け人間不信となり、会社を辞めた。そんな彼でも救いの存在がパソコン画面の中にいた。
「やっぱりロリはいいな~。ロリこそこの世の唯一無二の癒し。絶対正義。他はクソ以下だ」
男の名前は梵 賢吾。社会に絶望し、ロリコンに落ちたニートである。
そんな彼は今日もパソコンの電撃を落とし、ベッドで眠りにつき幼女の夢を見るはずだった。
「…目…な…。目覚めなさい。梵 賢吾」
久方ぶりに熟女の声が聞こえた。
「…うぜ~」
「女神である私に対してなんですか! その態度は!」
「はぁ…熟女はすぐ怒るから嫌いなんだよ。みっともない」
「……天罰!」
俺に雷が落ちた。
不思議だ…丸焦げになっているのに生きている。
「あなたはもう死んでいるから生きているのは不思議ではありません。それよりも私の美しさを見たなら謝ったらどうですか?」
俺は目の前の女性を見る。年齢は18歳。つまり。
「熟女じゃん」
「……」
おーおー。ひょっとして、怒ってる?だが俺には熟女の怒っている姿はウザさしか感じない。これが幼女な可愛い。これこそ俺の世界の絶対不変のルールだ。
「はぁ…まぁいいです。初めまして。梵 賢吾さん。私は女神フィーネ。死んだあなたを担当することになった女神です」
「……熟女で痛い妄想癖とか救いがねーな」
「天罰!」
これだから熟女は嫌いなんだ。怒ったら、すぐ暴力。口を開いたら、嫌味。世界の害悪でしかないと心の底からそう思う。
「死んだ? 俺が?」
「はい。死因は脳梗塞。ずっと運動せず引きこもっていたあなたは糖尿病となり、死にました。ショックでしょうがここは受け入れて」
「よっしゃー! 計算通りだ! 見たか! クソ世界! クソ人間ども! 俺はまともに仕事せず、ただ遊んで死んだぞ! 俺こそ勝者だ!」
女神フィーネはダメな男の担当になってしまったなと心の底から思った。
「まぁ…未練がないならいいことです。あなたの魂は今回で死亡回数が一億を越えたので、異能力を得る権利を得ました」
俺はどれだけ死んでいるんだと思ったが異能力を得られるならそれで良かった。話を聞いたら、熟女といる時間が伸びる。そんなの俺はごめんだ。
「では、このカードの中から選んでください。見せることは出来ません」
「面倒臭いな…じゃあ」
俺がさっさとカードを引こうとしたら、頭にカードが降ってきた。俺はカードを手に取りカードを見る。そこに書かれていたのは『異世界転移』の文字だった。
異世界転移?これは色々な異世界に行けるということか?つまり異世界の色々な幼女と出会うことが出来るということか!俺の心は決まった。
「これで」
「私の手から選んで無いでしょう! そんなの無効です!」
すると少年の声が聞こえた。
『そのカードを持ったならもう異世界転移が使えるよ。ワールドテレポートと唱えてごらん』
もう出来るんだ。それなら使おうかな。幼女じゃない女神なんて女神じゃないし。
「聞いているんですか! ほら! そのカードは私に返し」
「ワールドテレポート!」
俺はその空間からいなくなった。
「あぁ~!? うそ!? 異世界転移使っちゃった!? ちょっとどうするのよ!? これ~!」
こうして自称女神を完全無視して、俺の異世界転移旅が始まった。