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第2話 環状6号回り
「珍しく板倉さんが、夕飯をごちそうすると言うから来てみれば、封気の仕事にこれが、豪華なディナーですかぁ」
助手席に座りコンビニおにぎりを食べながら、ブチブチ文句を言う安住野に苦笑しながら運転席の板倉は事情を説明した。
「仕事だとアズくんは絶対に逃げるから、夕飯で誘えと岩代くんが…おにぎりを買ったの岩代くんよ。それにしても進まないわねぇ」安住野を駅に迎えに行き岩代達と現場で合流する予定だが、夕方の帰宅渋滞で一向に車は前に進んでいなかった。
薄暗い車内にダースベーダのテーマ曲が重く鳴り響く。
「榊さんからだ…はい…あっ…はい、伝えます。はい、では」
助手席でおにぎりと携帯電話を持った安住野は、電話の向こうにいる榊に丁寧にお辞儀をして携帯の電源を切り・榊の指示を隣の板倉に伝える。
「環状6号廻りで、来いって…現場判る?」
「環6経由のルートは…これね。右に曲がるよ」
カーナビを操作・表示された道順に従い板倉は、勢いよくハンドルを切った。