流星の恋
天使も悪魔も
龍神も蛇も
神が許すなら
人として生まれることができる
星が堕ちて
天使に化身したけれど
空中の摩擦熱で
羽が焼け落ちながら
なんとか地上に
たどり着いた時には
人の姿になっていた
言葉は
衛星の電波を
流れるアニメや
韓国のドラマを聞いて
覚えたので
片言の留学生みたいになった
ほんのすこし
人間の社会のルールが
わからないけれど
時代はそうした欠如も
個性として認めたり
喜んだり
もてはやしたりする
姿は地上で最初に会った
女子学生の憧れていた
同級生の男子のイメージを
自覚なく再現していた
どこで暮らし
どこで寝て
どこでなどと
心配するけれど
三年ほど過ぎたころ
同居を許す友人ができ
その人の演奏する曲で
掃除や台所の仕事をしながら
星だった頃の夢を
歌っていた
さらに二年
同居させてもらっている人の
従妹が近所に住むようになると
三人での食事も増えてきた
星の堕ちた彼は
彼女に恋をした
同居の彼の新しい曲で
彼女への思いを歌にもした
さらに五年
人の姿に飽きたころ
今度は愛猫を慈しむ
女性に出会った
思わず知らず
夜な夜な
猫の姿になって
近所を散歩すると
猫を愛する女性が
呼びかけてくれたり
頭を撫でてくれたり
はじめて触れる人の手に
心地よさに酔いしれる
昼間は同居人のために
詩を書いて
夕方はご飯を作って
夜は散歩する
そのころになって
星の仲間を思い出す
上手に人や天使になった友もいる
その友が懐かしく
消息を知りたくて
哀しいような
せつないような
はじめて感じる人の感傷を知る
寝ていても
夢に見る
なんとか自分の存在を
知らせたくて
いつもと違う詩を書いてみる
☆
あなたのいまの姿は
なんですか?
わたしのように
幸せですか?
人は生まれ変わり
死に変わり
転生を繰り返すそうです
星に生まれ
許されて天使や
菩薩になって
みな憧れた地上で
人の文化や芸術に臨み
また星に帰ります
わたしは
堕ちてしまいました
しかし今になってみると
それも宇宙の司の
深い愛と
寛大な許しだったのかと
なぜか涙が出ています
ああ!
できることなら
何億年も共に生きた
仲間に会いたい
人と関わって
あなたはいま
幸せですか?